コンパクトビデオカセット

コンパクトビデオカセット（CVC）は、1980年に船井電機とテクニカラーが共同で開発した家庭用ビデオ規格です。当時、ビデオカメラ（カムコーダ）用として、その小型軽量性から広く普及しました。CVC規格の最初のモデルはModel 212で、船井電機とテクニカラーが合弁会社を設立し、このフォーマットを家庭用ビデオ市場に導入しました。

CVCシステムは、VTR（ビデオテープレコーダー）と携帯型ビデオカメラで構成されており、当時としては画期的な小型・軽量化を実現しました。これにより、屋外での撮影や持ち運びが容易になり、アマチュアビデオ愛好家にも広く受け入れられました。

技術的特徴

CVCフォーマットは、8ミリビデオカセットに似たサイズのカセットを使用し、6.5ミリ幅の磁気テープを内蔵しています。しかし、他のビデオカセットフォーマットとは異なり、リールをフランジで囲むのではなく、コンパクトカセットのようなフランジのないテープハブを採用しています。この設計により、カセットの小型化とスペース効率の向上に貢献しました。

当初、CVCカセットは30分記録可能なV30テープのみが提供されていましたが、後に45分記録のV45テープ、そして60分記録のV60テープが追加されました。これにより、より長時間の録画が可能になり、ユーザーの利便性が向上しました。カセットには、「VExx」というラベルが貼られ、各テープの記録時間が示されました。

さらに、CVCフォーマットは、NTSC、PAL、SECAMといった主要なテレビシステムに対応したバージョンが発売されました。これにより、世界中の様々な地域でCVC規格のビデオ機器が利用できるようになりました。この柔軟性も、CVC規格が普及した理由の一つと考えられます。

CVCは、1980年代の家庭用ビデオ市場において、小型軽量なビデオカメラの普及に大きく貢献しました。その独自のテープハブ設計と、多様なテレビシステムへの対応が、当時のユーザーに支持されました。しかし、より高性能なビデオフォーマットが登場すると、CVCは次第に市場から姿を消していきました。それでも、CVCがビデオカメラの小型化と普及に果たした役割は、ビデオ技術の歴史において重要な一章として記憶されています。

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