コンビーノ

コンビーノ (Combino): シーメンスの低床路面電車

コンビーノは、シーメンス社が製造する低床路面電車で、交通機関としての機能性を追求した設計が特徴的です。1996年、デュワグ社による新しいコンセプトの試作車が発表された後、同社はシーメンスの傘下となり、現在はシーメンスブランドで販売されています。現在、ドイツを中心に500編成以上が運行しており、低床型路面電車の中では圧倒的なシェアを誇ります。特に、3車体連接のモデルには「バンビーノ」という愛称がついています。

特徴とモジュール構造

コンビーノは、さまざまな仕様に適応できるモジュール構造を採用しています。車体はアルミニウム製で、短い車体と台車のない長い車体を交互に連結することで、幅広い編成が可能です。全長は約19mから53mまでの範囲で、車体幅も異なる4種類のオプションがあります。これにより、異なる都市のニーズに応じた柔軟な対応ができることが、この車両の大きな特長となっています。

1996年からの設計変更により、エアフルトに導入された車両では、先頭モジュールの長さが変更され、車高もわずかに高くなりました。また、軌間の選択肢や運行形式に応じた設計が可能であり、片側に客用扉を持つモデルや両側に客用扉を持つモデルの選択がされています。これにより、運行の効率化と利用者の利便性を両立させています。

技術と性能

コンビーノでは完全低床化を実現するために、車輪の独立設計を採用し、主電動機を外部に配置しています。この設計により、前後の車輪を効率的に駆動するメカニズムが実現されており、出力とコントロールが容易になっています。全台車に動力を搭載可能ですが、運行性能に応じて付随台車の使用もあります。ノルトハウゼンで導入されたコンビーノデュオは、ディーゼル発電機を搭載し、電化されていない路線でも運行できるよう工夫がなされています。

導入都市とリコールの歴史

コンビーノは多くの都市で導入されており、特にドイツを中心に広く利用されています。しかし、2004年には車体強度に懸念が生じ、シーメンスは運行中のコンビーノ車両の点検を促しました。この問題により、いくつかの導入計画が見直されることとなりました。これを受けて、シーメンスは「コンビーノ・プラス」と呼ばれる新たな設計のモデルを発表し、より強固な構造を実現しました。

最後に

コンビーノは、そのデザインと技術革新、ユーザーのニーズに応えた柔軟な仕様が、多くの都市において親しまれる理由です。また、シーメンスの低床路面電車のラインナップにおいては、コンビーノに代わる製品やさらなる改良版も提案されています。未来の交通手段としての役割が期待されるコンビーノの進化から目が離せません。

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