コンピュータ・サイエンシズ・コーポレーション

Computer Sciences Corporation（CSC）: ITサービス業界の巨人とその歴史

Computer Sciences Corporation（CSC）は、アメリカ合衆国を拠点として世界中に展開していた、大規模なITサービスおよびコンサルティング企業でした。民間企業や政府機関を顧客とし、幅広いITソリューションを提供することで知られていました。

CSCの概要

バージニア州フォールズチャーチに本社を置いていたCSCは、世界60カ国以上に56,000人を超える従業員を擁するグローバル企業でした。その顧客は、多様な業界の民間企業に加え、アメリカ合衆国連邦政府、州政府、地方政府、そして多くの外国政府機関にも及んでいました。特に、2017年当時、アメリカ合衆国でハードウェアベンダーから完全に独立した大手ITサービスプロバイダとして唯一の存在でした。この独立性こそが、CSCの大きな強みの一つでした。長年に渡り、Fortune 500にもランクインし、その高い企業評価を維持していました。

歴史：黎明期からグローバル企業へ

CSCは1959年、カリフォルニア州ロサンゼルスでRoy NuttとFletcher Jonesによって設立されました。創業当初は、コンパイラやアセンブラといったプログラミングツールの開発に注力していました。しかし、設立から間もなく、IBMやハネウェルといった大手コンピュータメーカーへのソフトウェア開発サービス提供へと事業を拡大。1963年には、アメリカ最大のソフトウェア企業へと成長を遂げました。その後、1970年代には積極的に海外展開を進め、グローバル企業としての基盤を築き上げていきました。2008年には、本社をカリフォルニア州からバージニア州へと移転。これは、企業規模の拡大と事業戦略の変化を反映した重要な出来事でした。

買収と統合：成長戦略の中核

CSCの成長戦略において、企業買収は重要な役割を果たしました。数々の企業を買収・合併することにより、事業領域を拡大し、新たな技術やノウハウを獲得してきました。主な買収事例には、2003年のDynCorp International、2007年のCovansys Corporation、2015年のUXCやXchangingなどが挙げられます。また、2015年には、政府部門を分離してCSRAを設立。さらに、HCL Technologiesとの合弁会社としてCeleriti FinTechを設立するなど、積極的な事業展開を続けていました。これらの買収・統合は、CSCの事業ポートフォリオの多様化と競争力の強化に大きく貢献しました。

主要事業

CSCは、大きく分けて以下の事業を展開していました。

North American Public Sector (NPS): アメリカ合衆国政府機関へのITシステム開発において、長年に渡り主要な役割を担っていました。国防総省、FBI、CIA、国土安全保障省、NASAなど、多くの重要な政府機関へのサービス提供実績を持っていました。
Managed Services: 顧客企業のITインフラの運用・管理を請け負うサービスです。
* Business Solutions and Services: 顧客企業のビジネス課題解決に向けた、幅広いITソリューションを提供していました。

DXCテクノロジーへの統合

2017年4月3日、CSCはヒューレット・パッカード・エンタープライズ（HPE）のITサービス部門と統合し、DXCテクノロジーという新たな企業が誕生しました。これは、ITサービス業界における歴史的な出来事であり、CSCの独立企業としての歴史に幕を閉じました。

まとめ

CSCは、半世紀以上に渡り、ITサービス業界を牽引してきた重要な企業でした。数々の買収・統合、そして政府機関や民間企業への幅広いサービス提供を通して、世界中のITインフラ発展に貢献しました。DXCテクノロジーへの統合は、新たな章の始まりであり、CSCの遺産はこれからもIT業界の歴史に刻まれ続けることでしょう。

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