コンフォタブリー・ナム

「コンフォタブリー・ナム」（Comfortably Numb）は、1979年に発表されたピンク・フロイドのアルバム『ザ・ウォール』に収録された楽曲であり、「ザ・ドクター」という通称でも知られています。作詞はロジャー・ウォーターズ、作曲はデヴィッド・ギルモアが担当しました。

この曲は、『ザ・ウォール』の物語が後半へと進む重要な場面で演奏されます。物語の主人公であるピンクが生気を失い、精神的に麻痺していく中で、医師によって薬を投与され、感覚を遮断されていく様子が描かれています。ヴォーカルは、医師のパートをウォーターズが、ピンクのパートをギルモアが担当しています。この楽曲は、ギルモアの最高のギター・プレイの一つとしても評価されており、その叙情的で感情的なギターソロは、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

ギルモアのギターソロは、数々のランキングで高い評価を受けています。DiditalDreamDoor.comが選出した「偉大なギターソロトップ100」では1位に輝き、2009年に『Guitar World』誌が選出した「50グレイテスト・ギター・ソロ」では4位にランクインしました。これらの評価は、ギルモアのギターソロが音楽史に残る名演であることを証明しています。

この曲のアイデアは、元々ギルモアが1978年に発表したソロアルバム『デヴィッド・ギルモア』のレコーディング・セッション中に生まれたものでした。ギルモアは、この曲の可能性を感じ、『ザ・ウォール』に流用することを決断しました。ウォーターズとの共作によって、楽曲はより深みを増し、アルバムの重要な一部となりました。

「コンフォタブリー・ナム」は、前半と後半に2回のギターソロが挿入されています。シングルとしてリリースされた際には、ラジオでのオンエアを考慮して、前半部分のギターソロがカットされました。しかし、現在でもこの楽曲は高い人気を誇っており、多くの人々に愛されています。1984年のギルモアのソロ・ツアー、1987年と1994年のピンク・フロイドのツアー、そして1990年代以降のウォーターズのソロ・ツアーでも、ライブの終盤に演奏される定番曲となっています。また、ウォーターズがピンク・フロイドに復帰した2005年7月のLIVE 8のステージでは、トリを飾る楽曲として演奏され、感動的なフィナーレを迎えました。

2004年には、シザー・シスターズによる「コンフォタブリー・ナム」のカバーがシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで10位に達しました。彼らのカバーは、原曲とは異なるアプローチで、この名曲に新たな息吹を吹き込みました。

「コンフォタブリー・ナム」は、ピンク・フロイドの音楽の中でも特別な位置を占める楽曲であり、その美しいメロディー、感情的な歌詞、そしてギルモアの伝説的なギターソロは、時代を超えて多くの人々の心を捉え続けています。

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