コンフォート (T-AH-20)

USNSコンフォート：海の恵みの象徴

USNSコンフォート (T-AH-20)は、アメリカ海軍所属の病院船であり、マーシー級病院船の2番艦です。元は石油タンカーでしたが、1987年に海軍によって取得され、病院船として生まれ変わりました。その任務は、アメリカ軍の負傷兵への医療支援、そして災害や人道危機における被災者への医療提供です。

幾多の危機を乗り越えて

コンフォートの活躍は、数々の作戦や災害支援において際立っています。

砂漠の嵐作戦

1991年の湾岸戦争では、サウジアラビア沖で医療拠点を展開。8000人を超える外来患者と700人の入院患者を治療し、337件もの外科手術を行いました。その活動規模は、2100回以上のヘリコプター離着陸、7000件以上の処方、1万7000件に及ぶ検査と、まさに桁違いでした。

シー・シグナル作戦

ハイチ難民支援においては、海上手続きセンターとして機能。1ヶ月間で1100名以上の難民を収容しました。

アップホールド・デモクラシー作戦

ハイチでの政治情勢不安定化を受け、グァンタナモ米軍基地に250床の医療設備を提供。アメリカ軍や国連部隊、ハイチ市民への医療支援を行いました。

ノーブル・イーグル作戦

アメリカ同時多発テロ事件発生直後、ニューヨークへ急行。被災者への医療支援を行い、500件以上の精神衛生相談にも対応しました。

イラクの自由作戦

2003年のイラク戦争では、ペルシャ湾で56日間活動。アメリカ軍将兵だけでなく、イラク民間人や捕虜にも治療を提供しました。800回以上のヘリコプター離着陸、590件の外科手術など、その活動は多岐に渡りました。

ハリケーン・カトリーナ

ハリケーン・カトリーナ被災地では、7週間の活動で1956人の患者を治療しました。

ハイチ地震

2010年のハイチ地震では、地震発生後すぐに現地へ急行。医療スタッフ約550人を擁し、1000人を超える人々の治療を行いました。

新型コロナウイルス感染拡大

2020年の新型コロナウイルス感染拡大時には、ニューヨークで新型コロナウイルス感染症患者の治療に貢献しました。

海上病院としての存在意義

コンフォートは、単なる病院船ではありません。緊急事態における迅速な対応力、そして広範囲に渡る医療支援能力を備えた、まさに海の恵みの象徴です。その活動は、人命救助、災害復興、国際平和協力において、極めて重要な役割を担っています。ボルチモア湾を拠点としつつ、世界各地で必要とされる場所へ即座に駆けつけるその姿は、アメリカ海軍、そして世界の人々にとって大きな安心材料となっています。常に備え、常に活動し、世界平和への貢献を続けるコンフォートの今後の活動にも期待がかかります。

もう一度検索