コンラート1世 (バイエルン公)

コンラート1世：波乱に満ちた生涯

コンラート1世（1020年頃 - 1055年12月5日）は、エッツォ家出身のバイエルン公であり、ズトフェン領主でもありました。彼の生涯は、皇帝との関係、在地貴族との軋轢、そして陰謀と挫折に彩られています。

生い立ちとバイエルン公就任

コンラートは、ズトフェン領主リウドルフとマティルデの間に生まれました。父リウドルフは、シュヴァーベン公オットー2世の長兄であり、皇帝オットー2世の外孫にあたるという、高貴な血筋の持ち主でした。1049年、皇帝ハインリヒ3世は、バイエルンと地縁的なつながりの薄いコンラートをバイエルン公に任命します。これは、コンラートが独立した権力を築くのを防ぎ、バイエルン公領をより帝国に結び付けようとする皇帝の意図があったと考えられています。

在地貴族との対立と公位剥奪

しかし、コンラートはバイエルンの在地貴族にほとんど受け入れられませんでした。これは、彼がバイエルンにおける基盤を持たなかったことに起因します。彼は権力基盤を強化するため、シュヴァーベン大公オットー3世の娘ユーディト・フォン・シュヴァインフルトと結婚しましたが、状況は好転しませんでした。1053年、コンラートはバイエルン公位を剥奪され、その地位は皇帝ハインリヒ3世の子ハインリヒ（後の皇帝ハインリヒ4世）に与えられました。

逃亡と陰謀

公位を剥奪されたコンラートは、この決定を受け入れず、ハンガリー王アンドラーシュ1世のもとへ逃亡し、保護を受けました。その後ハンガリーから戻ると、ケルンテン公領やオーストリア辺境伯領で略奪を繰り返しました。1055年、コンラートは皇帝ハインリヒ3世に対する陰謀を企てます。この陰謀にはケルンテン公ヴェルフ3世やアリボ家も参加していましたが、同年、陰謀が実行される前にコンラートとヴェルフ3世が急死し、計画は頓挫しました。

コンラート1世の生涯は、皇帝の思惑、在地貴族との対立、そして自身の権力欲が複雑に絡み合った、波乱に満ちたものでした。彼の死後、陰謀は潰え、バイエルン公領は皇帝の支配下により強く組み込まれることになります。

参考文献

Sigmund Ritter von Riezler (1882). "Konrad II., Herzog von Baiern". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 16. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 571–572.
Alois Schmid: Konrad (Kuno) I. Herzog von Bayern 1049–1053. In: Lexikon des Mittelalters Bd. 5 (1991), Sp. 1342.

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