コヴイ人

コヴイ人：キエフ・ルーシ時代のテュルク系民族

コヴイ人（ロシア語: Ковуи）は、キエフ・ルーシ時代に存在したテュルク系の民族（または部族）です。彼らは、11世紀から12世紀にかけて黒海沿岸のステップ地帯をポロヴェツ族に占拠された後、ルーシの領域内へと集団で移住しました。

歴史と分布

12世紀から13世紀にかけて、コヴイ人はドニエプル川左岸の森林ステップ地帯に居住し、チェルニゴフ公に従属しました。彼らは、ルーシの政治・軍事的な動向に深く関与し、その歴史は年代記に記録されています。

イーゴリ公の遠征への参加

『イパーチー年代記』には、1185年のノヴゴロド・セヴェルスキー公イーゴリによるポロヴェツ族への遠征に、チェルニゴフ公国のヴォエヴォダ・オリスチンが率いる軍勢の一員として参加したことが記されています。この遠征は、後に叙事詩『イーゴリ遠征物語』の題材となりました。

『イーゴリ遠征物語』における言及

『イーゴリ遠征物語』には、チェルニゴフ公ヤロスラフに подчиненныйするモグトタトラン、シェルビル、トプチャク、オルベルといった集団が登場します。これらの集団は、ヤロスラフに従属していたテュルク系の部族名、あるいは族長名であると考えられています。コヴイ人と同様に、これらの集団もルーシの歴史において重要な役割を果たしました。

コヴイ人の社会と文化

コヴイ人の社会や文化については、断片的な情報しか残されていません。しかし、彼らがテュルク系の遊牧民であったこと、そしてルーシ社会に интегрированыされていたことがわかっています。彼らの言語や宗教、生活様式などは、今後の研究によってさらに明らかになることが期待されます。

まとめ

コヴイ人は、キエフ・ルーシ時代にドニエプル川流域に居住し、ルーシの政治・軍事に関与したテュルク系民族です。彼らの歴史は、『イパーチー年代記』や『イーゴリ遠征物語』といった文献に記録されており、ルーシの多文化的な側面を示すものとして重要な意味を持っています。

参考文献
木村彰一 訳註 『イーゴリ遠征物語』 岩波書店、1983年
井桁貞義編 『コンサイス露和辞典』 三省堂、2009年

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