コーチ (企業)

タペストリー（Tapestry, Inc.）について

タペストリー（旧社名：コーチ、Coach, Inc.）は、1941年にニューヨークで創業した皮革工房を起源とするアメリカのファッション企業です。現在では、「コーチ（COACH）」、「ケイト・スペード（kate spade）」、「スチュアート・ワイツマン（Stuart Weitzman）」といった、世界的に有名な高級ファッションブランドを傘下に抱えています。

ブランドの特徴

タペストリーの主力ブランドである「コーチ」は、頭文字のCをモチーフにしたシグネチャー柄のハンドバッグや財布が代表的な商品です。このシグネチャー柄は、様々なデザインやカラーバリエーションで展開されており、レディースだけでなくメンズラインも人気を集めています。また、「コーチ」というブランド名は、馬車の代名詞であったハンガリーの都市「コチ（Kocs）」に由来しています。

タペストリーは、高級ブランドでありながら、アウトレット店も展開しており、幅広い層の顧客に商品を提供しているのが特徴です。これにより、「全ての層を相手に商売ができる」と評価される一方で、アウトレット店の増加による正規店の売上減少やブランドイメージの低下を懸念する声もあります。しかし、2007年のサブプライムローン問題以降のアメリカ経済の低迷期においても、積極的な出店戦略を崩していません。

歴史

創業当初は小さな皮革工房でしたが、1961年にマイルズ・カーン夫妻が買収しました。当初は野球グラブの革を使った鞄などをアメリカ国内で生産しており、主な顧客層は高齢の男性でした。しかし、1962年にデザイナーのボニー・カシンを迎え、女性向けの牛革バッグの生産を開始しました。彼女はコーチのアイコン的な真鍮製のターンロックの留め具を考案した人物でもあります。

その後、1985年にサラ・リー社に買収され、2000年に株式公開を果たし、ニューヨーク証券取引所に上場しました。この買収を機に、皮革製品メーカーから総合ファッション企業へと大きく舵を切りました。

ブランド戦略の転換

タペストリーは、生産拠点をドミニカ共和国や中国などの海外に移し、コスト削減を図りました。1996年には、リード・クラッコフをクリエイティブ・ディレクターに迎え、2001年には日本市場を中心に人気を集めるシグニチャー・ラインを発表しました。このシグニチャー・ラインの登場は、その後のコーチの方向性を決定づける出来事となりました。

日本には、バブル期の1988年に初出店し、2001年には住友商事と合弁で日本法人「コーチ・ジャパン」を設立しました。2005年には、米コーチ社がコーチ・ジャパンの株式を買い戻し、現在ではタペストリー・ジャパン合同会社としてタペストリー社の100％子会社となっています。

2013年には、ロエベのクリエイティブ・ディレクターを務めたスチュアート・ヴィヴァースを迎え、ブランドのモダンでモードな進化を加速させています。

日本企業とのコラボレーション

タペストリーは、日本企業ともコラボレーションを行っています。

トヨタ自動車：1999年から2001年にかけて、レクサスブランドの内装にコーチの皮革を使用した限定車を販売しました。
ナムコ：2019年には、アーケードゲーム「パックマン」のデザインをあしらった商品を発売しました。

まとめ

タペストリーは、伝統と革新を両立させながら、常に新しい挑戦を続けているファッション企業です。今後も、グローバルなファッション市場で、その存在感を高めていくことでしょう。

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