コーネルボックス

コーネルボックス：3DCGレンダリングのベンチマーク

コーネルボックスは、コンピュータグラフィックスにおけるレンダリング技術の性能を評価するための定番のテストシーンです。1984年、コーネル大学の研究者らによって発表された論文「Modeling the Interaction of Light Between Diffuse Surfaces」の中で提案されました。この論文では、現実世界で作成された模型を精密に計測し、3DCGで再現することでレンダリング結果の正確さを検証する方法が示されました。

コーネルボックスの構成

コーネルボックスは、シンプルな長方形の部屋を模した仮想空間です。その特徴的な構成要素は以下の通りです。

天井： 照明が埋め込まれた白い天井面
壁： 片側の壁は赤、もう片側は緑に塗装されています。
床と奥壁： 白色で構成されています。
内部オブジェクト： 部屋の中央には、通常、幾つかのオブジェクトが配置されます。代表的な例としては、白い立方体や、ガラスや鏡のような反射特性を持つ球体が挙げられます。これらのオブジェクトは、光線の反射や屈折といった現象を視覚的に確認するために配置されています。

この簡素化された環境は、光線の拡散反射を正確にシミュレートするレンダリングエンジンの性能評価に適しています。例えば、赤と緑の壁から反射した光が、白い壁や床に複雑な色合いのグラデーションとして現れる様子は、レンダラーの精度を測る重要な指標となります。

コーネルボックスを用いたレンダリング評価

コーネルボックスを用いたレンダリング評価では、以下の手順が用いられます。

1. 現実モデルの作成と計測： まず、物理的なコーネルボックスの模型を作成します。その後、照明の特性、材質の反射率、オブジェクトの位置や形状といった情報を正確に測定します。
2. 3DCGモデルの作成： 測定した情報を基に、3DCGソフトウェアを用いてコーネルボックスをデジタル空間上に忠実に再現します。
3. レンダリングの実行： 作成した3DCGモデルに対して、評価対象となるレンダラーを用いてレンダリングを実行します。
4. 結果の比較： レンダリングされた画像と、現実のコーネルボックスを撮影した画像を比較することで、レンダリングの正確性やリアルさを評価します。

コーネルボックスと他のテストモデル

コーネルボックスは、ユタティーポットやスタンフォードバニーと同様に、レンダリングエンジンのテストに用いられる有名な3Dモデルの一つです。これらのモデルはそれぞれ異なる特徴を持ち、様々なレンダリング技術の性能を多角的に評価するために用いられています。ユタティーポットは複雑な形状の表現能力を、スタンフォードバニーは細かいメッシュデータの処理能力を評価するのに適しています。これに対してコーネルボックスは、光と色の相互作用を正確にシミュレートできるかを評価するのに最適なモデルと言えるでしょう。

まとめ

コーネルボックスは、そのシンプルな形状ながら、光と材質の相互作用を効果的に検証できる優れたテストシーンです。3DCGレンダリング技術の発展に貢献してきただけでなく、今後もレンダリングエンジンの性能評価において重要な役割を果たし続けるでしょう。

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