ゴアトランス

ゴアトランスは、1990年代初頭にインドのゴアで誕生したトランス音楽の一種で、単に「ゴア」や、数字の「604」と表記されることもあります。1980年代後半にドイツで生まれたトランスが、リゾート地として知られ、バックパッカーが集まるインドのゴアで独自の発展を遂げたのが始まりです。ゴア以前には、ロックやアシッドハウスがパーティーで流れていましたが、DJのラジャ・ラムやゴア・ギルといった人物が中心となり、ゴアトランスのシーンが形成されました。

ゴアトランスの特徴は、インドやイスラムの音階を取り入れたメロディと、宗教的なパーカッションやサンプリング音声を用いた、有機的で民俗的な楽曲が多いことです。1990年代前半から後半にかけて大きなブームとなりましたが、その後、サイケデリックトランスへと人気が移行し、現在はアンダーグラウンドなシーンで活動を続けるアーティストが多いです。当時のシーンを牽引したアーティストは、イギリス、ドイツ、イスラエル出身者が中心で、特にイスラエル出身者の作る音楽は「イスラエルトランス」として区別されることもあります。

ジャケットデザインには、ヒンドゥー教の神々やフラクタル図形が用いられ、LSDなどのトリップ感をイメージしたものが多く見られます。ゴアトランスは1994年～1998年頃に最盛期を迎えましたが、その後、人気は衰退し、サイケデリックトランス、またはサイトランスと呼ばれるジャンルが台頭しました。しかし、ゴアトランスはサイケデリックトランスの出現に大きな影響を与えており、両ジャンルは融合を果たした時期もありました。現在では、ゴアトランスとサイケデリックトランスの区別は個人の好みの問題となっています。そのため、同義語として使う人もいれば、両者を区別する人もいます。例えば、「無機質なサイケデリックトランス」と「有機的なゴアトランス」のように区別されることがあります。

ゴアトランスは、他のトランス音楽と比較してアンダーグラウンドな存在であり、クラブよりも野外パーティーや野外フェスで聴かれることが多いです。全盛期のゴアトランスを聴けるコンピレーションアルバムとしては、Dragonfly Recordsの「Voyage Into Trance」や「Order Odonata」シリーズが挙げられます。当時、数々の名作が生まれたものの、多くのレーベルが活動を停止したため、現在では入手困難な音源が多く存在します。

代表的なアーティスト:
ジュノ・リアクター
サイモン・ポスフォード
Man With No Name
T.I.P. (The Infinity project)
Slinky Wizard
Shakta
Koxbox
Astral Projection
Total Eclipse
EAT STATIC（OZRIC TENTACLESから派生）

代表的なレーベル:
Dragonfly Records
Blue Room Released
T.I.P. Records
Flying Rhino Records
Spirit Zone Records
Platipus Records
KOYOTE Records

関連サイト:
RAVE TRIVE
goatrance.net
goatrance.de
goa-trance.de
Psychedelic Mind Expander
Psychedelic Trance Music News
Isra Trance
* Discog

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