ゴッホ向井ブルー

ゴッホ向井

1990年2月22日生まれ、広島県大竹市出身のピン芸人。旧芸名は「ゴッホ向井ブルー」。地元広島東洋カープへの並々ならぬ愛情を基盤とした漫談を主な芸風とし、現在も地元大竹市の「大好き大竹応援大使」として活動している。多岐にわたるメディアに出演し、その情熱的な語り口でファンを獲得している。

生い立ちから芸の道へ

三人兄弟の次男として育ったゴッホ向井は、物心ついた頃から地元のプロ野球団、広島東洋カープの熱烈なファンであった。学生時代には、実家近くにあるカープの練習場へ足繁く通い、生粋のカープファンとしての道を歩む。現在に至るまで、年間30試合以上の野球観戦は欠かさないという。

両親が共に教師という厳格な家庭環境の中で、中学生の頃にお笑い番組『笑いの金メダル』や『爆笑オンエアバトル』に熱中し、テレビを毛布に隠してイヤホンで密かに視聴していたことが、彼がお笑いに興味を持つきっかけとなった。

中学生時代には、一時期学校へ足が向かなくなる経験も明かしている。制服を着て家を出るものの、登校せず時間を過ごす日々が続いたが、両親はその状況を把握していなかった。不登校中に偶然立ち寄ったカープの練習場で、当時の木村拓也選手に写真撮影をお願いした際、自身の悩みを打ち明けたところ、「大人だって会社に行きたくない時がある。焦らなくても大丈夫」という温かい励ましの言葉を受け、これが再登校への大きな後押しとなったという、心温まるエピソードがある。

高校に進学後、一年生の頃には遊び心で友人とともに「M-1グランプリ」にエントリーしたが、出番直前に友人が現れないという事態に直面する。受付で謝罪して帰ろうとしたところ、偶然その場にいたMCのへびいちごが彼を引き止め、「舞台にだけでも立ってみないか」と声をかけた。結果的に、全組の漫才終了後、へびいちごの二人とともに舞台に立つ機会を得た向井は、彼らからの励ましを受け、「お笑いだけは嫌いにならず、またいつかチャレンジする時がきたら待っている」という言葉に深く感動し、これがプロの芸人を目指す決定的なきっかけとなった。

中学・高校は中高一貫校に通っていたが、高校は一年で中退。その後、定時制通信制高校で学び直し、高校卒業資格を取得した。アルバイトで資金を蓄え、2008年に上京し、本格的に芸人活動を開始する。

芸名と人物像

現在の「ゴッホ向井」という芸名は、かつて可愛がってもらっていた先輩芸人、クロンモロンの渡邉星から「お前はゴッホのように死んでから評価される」と言われた言葉に由来する。この「ゴッホ」を冠し、本名の「向井」を組み合わせ、さらに以前は好きな色である「ブルー」を加えて「ゴッホ向井ブルー」として活動していたが、2023年8月4日の最強開運日に現在の芸名に改めた。

彼の人物像を語る上で欠かせないのが、やはり広島東洋カープへの情熱である。幼い頃から培われたカープ愛は、芸風や活動の根幹をなしている。また、映像編集を得意としており、趣味の延長で培ったセンスが認められ、ラブレターズやかもめんたる、三四郎など、多くの著名な芸人の単独ライブ映像制作に携わっている。その他、野球ゲームや足つぼマッサージを趣味とし、Twitterでは投稿の最後に広島弁の「じゃけ」を添えるなど、親しみやすい一面も持つ。かつては、スピードワゴンの小沢一敬やチュートリアルの徳井義実、放送作家の桝本壮志と共にシェアハウスで一年間生活していたというユニークな経験も持つ。

芸風と活動実績

ゴッホ向井の芸風は主に漫談であり、中でも広島東洋カープをテーマにしたマニアックなネタを得意としている。ネタ中は標準語を使用する一方、ファンとの交流などでは広島弁を交えることもある。舞台に登場する際には「どーもー！ゴッホ向井ブルーでーす！」（改名後は適宜変更）と名乗り、握った右腕を胸に当てる独特のポーズをとるのが恒例であった。衣装には、広島東洋カープのユニフォームや関連Tシャツを着用することが多く、時には自作のTシャツを着ることもある。

これまでの活動実績として、岡山ひとりお笑いグランプリでの審査員特別賞受賞や、「R-1ぐらんぷり」での複数回の準々決勝進出などが挙げられる。メディアへの露出も豊富で、現在、地元広島の広島ホームテレビ『5up！』やちゅピCOM『ちゅピCOM SPORT&LIFE』、テレビ新広島『ワンわんワンダフル』にレギュラー出演。ラジオでも広島FM『アラウンドカープX』『山本将輝の#PUSH』のレギュラーを務めている。過去にはテレビ朝日『アメトーーク！』の「広島カープ芸人」や「定時制高校芸人」企画など、人気番組に出演し、お笑いや野球関連企画で活躍。地元広島では、多数のカープ関連特番に出演し、専門的な知識と熱量を披露してきた。その他、BS・CS放送、インターネット番組にも登場。CMへの起用実績もあり、サンヨー食品やSUUMOなどの企業CMに出演。雑誌ではカープ関連誌やエンタメ誌に登場。出演企画は『アメトーーク！』のDVD・Blu-rayにも収録されている。

地元への貢献

2021年4月からは、自身の発案がきっかけとなり新設された広島県大竹市の「大好き大竹応援大使」第一号に任命された。これは、地元大竹市への強い思いと貢献意欲が評価されたものであり、現在も大使として多角的な活動を行っている。

このように、ゴッホ向井は、熱狂的なカープファンとしての顔、困難を乗り越えて芸の道を歩み始めた経緯、そして映像編集の才能など、多様な側面を持つピン芸人である。地元への愛と、お笑い、そしてカープへの情熱を胸に、精力的に活動を続けている。

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