ゴールデングローブ賞 テレビドラマ部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)

ゴールデングローブ賞 テレビドラマ部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)

ゴールデングローブ賞における「テレビドラマ部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)」は、その年のテレビ作品の中から、特にミュージカルまたはコメディの分野で傑出した成果を上げたシリーズに贈られる、極めて権威ある賞の一つです。ハリウッド外国人映画記者協会（HFPA）によって選出されるこの賞は、米国のみならず世界中のテレビ界から注目を集めており、受賞は作品の評価を大きく高める指標となります。

この賞の歴史を辿ると、その初期には現在の区分とは異なる形が取られていました。インプット情報によると、1960年代には「テレビドラマ部門 作品賞」という一つのカテゴリの中に、様々なジャンルの作品が含まれていたことが示唆されます。例えば、1962年には『The Dick Powell Show』が、1963年には『The Richard Boone Show』が、1964年には『The Rogues』が、1965年には日本でも人気を博した『0011ナポレオン・ソロ』が、1966年には『I Spy』が、1967年には後に映画化もされた『スパイ大作戦』が、そして1968年には『Rowan & Martin's Laugh-In』が、この「テレビドラマ部門 作品賞」として選出されています。

現在の「ミュージカル・コメディ部門」として明確に区分されたのは、恐らく1969年以降と考えられます。1969年には『The Governor & J.J.』が最初の受賞作となりました。その後、1970年代に入ると、『The Carol Burnett Show』や、社会派コメディとして大きな影響力を持った『All in the Family』が登場し、特に『All in the Family』は1971年から1973年まで3年連続で受賞するという快挙を成し遂げました。また、『Rhoda』、『Barney Miller』といったシットコム作品も受賞リストに名を連ね、1978年には『Taxi』がABCから、1979年には『Alice』（CBS）と『Taxi』（ABC）が同時受賞するなど、この時代のコメディドラマの多様性を示しています。

1980年代は、テレビコメディの黄金期ともいえる時代です。1980年に再び『Taxi』が受賞した後、1981年には日本でもヒットした『マッシュ』（CBS）が受賞。そして、音楽とダンスを取り入れた『フェーム／青春の旅立ち』が1982年（NBC）、1983年（Syndicated）と連続受賞を果たしました。1984年には、社会現象となった『コスビー・ショー』（NBC）が受賞し、その後のテレビコメディに大きな影響を与えました。さらに、1985年から1987年まで3年連続で『The Golden Girls』（NBC）が受賞するという驚異的な記録を打ち立てています。1988年の『素晴らしき日々』（ABC）や、1989年の『TVキャスター マーフィー・ブラウン』（CBS）も、この年代を代表する作品です。

1990年代も、質の高いコメディ作品が多く受賞しています。1990年の『チアーズ』（NBC）を皮切りに、1991年には『Brooklyn Bridge』（CBS）、1992年には『Roseanne』（ABC）が選ばれました。特に1993年の『となりのサインフェルド』（NBC）は、その後のコメディスタイルに大きな影響を与えました。1994年には『そりゃないぜ!? フレイジャー』（NBC）と『あなたにムチュー』（NBC）が同時受賞するという珍しいケースもありました。後半には、1995年の『Cybill』（CBS）、1996年の『3rd Rock from the Sun』（NBC）が受賞。そして1997年、1998年には『アリー my Love』（FOX）が連続受賞し、コメディドラマの新たな方向性を示しました。1999年には、ケーブルテレビ局であるHBOの作品、『セックス・アンド・ザ・シティ』が初めて受賞リストに加わります。

2000年代に入ると、『セックス・アンド・ザ・シティ』は2000年、2001年と受賞を重ね、ケーブル局作品の存在感を確立しました。2002年の『ラリーのミッドライフ★クライシス』（HBO）に続き、2003年にはイギリスのBBC制作による『The Office』が受賞するという国際的な広がりも見せました。2004年、2005年には『デスパレートな妻たち』（ABC）が連続受賞。その後も、『アグリー・ベティ』（ABC、2006年）、『エキストラ:スターに近づけ!』（HBO、2007年）、『30 ROCK/サーティー・ロック|30 ROCK_サーティー・ロック』（NBC、2008年）、『glee/グリー』（FOX、2009年）など、多様なテーマとスタイルの作品が受賞しています。

2010年代は、テレビ業界の大きな変化を反映しています。2010年に再び『glee/グリー』が受賞した後、2011年の『モダン・ファミリー』（ABC）など人気作が続きました。HBOからは『GIRLS/ガールズ|GIRLS_ガールズ』（2012年）が選出され、FOXの『ブルックリン・ナイン-ナイン』（2013年）も受賞。そしてこの年代の特筆すべきは、配信サービス作品の台頭です。2014年の『トランスペアレント』、2015年の『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』は、いずれもAmazon Videoの作品として初めて受賞リストに名を連ねました。その後、FXの『アトランタ』（2016年）が受賞。2017年と2018年には、再びAmazon Videoの作品である『マーベラス・ミセス・メイゼル』が連続受賞を果たし、テレビ界における配信プラットフォームの重要性を強く印象付けました。

ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)の歴代受賞リストは、米国テレビコメディ/ミュージカルドラマの歴史そのものを映し出していると言えるでしょう。地上波ネットワーク全盛期から、ケーブル局の台頭、そして配信サービス時代へと移り変わる中で、この賞は常にその時代の最も優れた作品を選出し続けています。

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