ゴールデンスコア

ゴールデンスコア：柔道の延長戦ルールと歴史

柔道において、規定時間内に勝敗が決まらない場合に行われる延長戦を「ゴールデンスコア (Golden Score)」といいます。GS方式とも略称されます。本稿では、ゴールデンスコアのルール、導入経緯、そして適用事例を詳細に解説します。

ルール

規定時間内に両選手が同点の場合、あるいは両者反則負けとなった場合、ゴールデンスコアが適用されます。時間制限のない延長戦で、先に有効または指導2回以上のポイントを獲得した選手が勝利します。元の試合とゴールデンスコアの間には休憩時間はありません。

一方の選手がゴールデンスコアを辞退した場合、もう一方は棄権勝ちとなります。また、両者が同時に反則負けとなった場合は、両者敗退となります。

ゴールデンスコア導入の経緯

ゴールデンスコア導入の背景には、判定の明確化という課題がありました。従来の旗判定では、判定基準が曖昧であるという問題がありました。

スペイン出身のフアン・カルロス・バルコス IJF審判理事は、より明確な勝敗決定方法を模索していました。中国の女子合宿で、どちらかがポイントを取るまで試合を続ける方式を目にしたことがきっかけとなり、サッカーやテニスなどの他競技の延長戦方式も参考に、ゴールデンスコア方式を発案しました。

2000年12月のヨーロッパジュニア大会で試験導入された結果、好評だったことから、2002年9月のIJF理事会で導入が決定され、2003年9月の大阪世界選手権から正式に導入されました。

ルールの変遷

導入当初は、ゴールデンスコアの試合時間内に決着が付かない場合、3人の審判による旗判定が行われていました。判定は、本戦とゴールデンスコア両方の内容を考慮して下されました。

2009年には、ゴールデンスコアの試合時間が5分から3分（ジュニア大会は2分）に短縮されました。さらに、2013年から2014年にかけては、ゴールデンスコアにおける時間制限を撤廃し、どちらかの選手が技や指導でポイントを取るまで試合を続けるルール改正案が試験導入され、その後正式に導入されました。旗判定は廃止されました。

ゴールデンスコア実施率の変化

2016年のリオデジャネイロオリンピックとIJFワールド柔道ツアーでは、ゴールデンスコアは全体の約4.5%（263試合）を占めていました。しかし、2017年のルール改正（本戦における指導差での決着が認められなくなった）により、ゴールデンスコアの実施率は飛躍的に増加し、約23.7%（1,349試合）に達しました。

ゴールデンスコア適用事例

ゴールデンスコアは、数分以上に及ぶ長期戦となるケースも珍しくありません。

2017年世界カデ57kg級準決勝では、14分56秒（本戦4分＋GS10分56秒）という国際大会最長記録が生まれました。
国内大会でも、20分を超えるゴールデンスコアが複数回記録されています。

これらの事例は、ゴールデンスコアが試合の行方を大きく左右する、重要な要素であることを示しています。

名称の由来

ゴールデンスコアという名称は、サッカーのゴールデンゴール方式に由来しています。ただし、一般用語としての「ゴールデン」と柔道との直接的な関連はありません。

まとめ

ゴールデンスコアは、柔道の勝敗を決定する上で重要な要素となっています。その導入経緯やルールの変遷、そして数々の長期戦を生み出してきた歴史を理解することで、柔道の試合をより深く理解することができるでしょう。 ゴールデンスコアは、柔道の試合をよりエキサイティングで、そしてドラマチックなものにしています。今後も、そのルールや適用方法が、柔道の発展とともに進化していくことが期待されます。

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