ゴールデン・フォーク

ゴールデン・フォークとは

『ゴールデン・フォーク』は、日本のポピュラー音楽史における興味深い一枚のアルバムとして知られています。この作品は、スティールギターの名手である原田実が率いる原田実とワゴン・エースと、当時登場したばかりの若手グループであったヴィレッジ・シンガーズが共演して制作されたもので、1966年11月に東芝音楽工業からリリースされました。当時の日本はフォークソングへの関心が高まりつつあり、本作もその潮流を捉えた企画盤と考えられます。アルバムには、世界的に知られるフォークやポップスのスタンダードナンバーが多数収録されており、参加アーティスト独自の解釈による演奏が特徴です。

アルバムはアナログレコードとして発表され、両面に合計14曲が収められています。

収録内容

本作に収められた楽曲は以下の通りです。

Side 1

1. グリーン・グリーン
2. 500マイル
3. 風に吹かれて
4. 朝日のあたる家
5. 漕げよマイケル
6. ジョンB号の難破
7. イエスタデイ

Side 2

1. 花はどこへ行った
2. 悲惨な戦争
3. ミスター・タンブリン・マン
4. 孤独の世界 (サウンド・オブ・サイレンス)
5. トゥデイ
6. サマー・グリーン
7. さらばジャマイカ

これらの楽曲は、ピーター・ポール&マリー、ボブ・ディラン、サイモン&ガーファンクル、ビートルズなど、当時の欧米を代表するアーティストのヒット曲や、伝統的なフォークソングなどから選ばれており、当時の日本の音楽ファンにとって耳馴染みのある、あるいはこれから親しまれるであろう重要なレパートリーが網羅されています。

参加ミュージシャン

このアルバムの録音に参加したミュージシャンは以下のメンバーです。

原田実とワゴン・エース

原田実：スティール・ギター、編曲

原田実は、自身の卓越したスティールギターの演奏でアルバム全体のサウンドに独特の彩りを添えています。また、収録曲の編曲も担当しており、フォークナンバーに彼ならではのアレンジを加えています。ワゴン・エースとしての参加メンバーについては、ライナーノーツには原田実の名前のみが確認できます。

ヴィレッジ・シンガーズ

南里孝夫：12弦ギター、ヴォーカル
小松久：エレキ・ギター、ヴォーカル
森おさむ：電気ベース
林ゆたか：ドラムス
古関正裕：エレクトーン

ヴィレッジ・シンガーズは、後のグループサウンズ期に大きな成功を収める布陣で参加しています。南里孝夫の12弦ギターとヴォーカルはフォークサウンドの核を担い、小松久のエレキギターとヴォーカルは楽曲に多様な表情を与えています。森おさむの電気ベースと林ゆたかのドラムスが安定したリズムを提供し、古関正裕が担当するエレクトーンは、当時のフォーク演奏としては珍しい楽器であり、アルバムのサウンドに個性的な響きを加えています。特に、原田実のスティールギターと古関正裕のエレクトーンという組み合わせは、このアルバムの音楽性を特徴づける要素と言えるでしょう。

『ゴールデン・フォーク』は、1960年代半ばの日本の音楽シーンにおけるフォークソングの受容と発展、そしてジャンルを超えたアーティスト間のコラボレーションを示す貴重な資料となっています。原田実の円熟した技術とヴィレッジ・シンガーズの若々しい力が融合した本作は、日本のフォーク・ポップス史を探る上で見逃せない一枚です。

この記述は、本作リリース当時のライナーノーツの情報を元に作成されています。

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