サイクロンSolid

サイクロンSolidは、株式会社コーエー（現：株式会社コーエーテクモゲームス）が1990年代に開発・販売していた3Dモデリングおよびレンダリングソフトウェアです。当時としては先進的な機能を備え、3DプリンティングやCAM（Computer Aided Manufacturing）といった分野でも活用されていました。

歴史

サイクロンSolidの歴史は1992年に最初のバージョン1.0が発売されたことから始まります。その後、機能強化や周辺ツールとの連携を重ね、以下のようなバージョンがリリースされました。

1992年11月：サイクロンSolid 1.0 - 初期のバージョン。
1994年11月：サイクロンSolid 2.0 - 機能が強化されたバージョン。
1994年11月：サイクロンLuster 1.0 - レンダリング専用のソフトウェアとして登場。
1995年11月：サイクロンSolid 2.0 キャンペーン版 - サイクロンLusterとゲームソフト『三國志リターンズ』が同梱された特別版。
1996年4月：サイクロンSolid 3.0 - レンダラーであるサイクロンLusterを統合し、より使いやすさが向上。
1996年11月：サイクロンSolid 3.0 インターネットキャンペーン版 - VRML97（Virtual Reality Modeling Language 97）に対応し、3Dモデルをインターネット上で共有できる機能が追加。
1997年6月：サイクロンSolid 97 - さらなる機能強化を施したバージョン。
サイクロンSolid 97 Jr. - 簡易版で、3DCG初心者向けの入門パック「3DCGビギナーズパック」に同梱。

また、サイクロンSolidの関連ツールとして、データコンバータのサイクロンMoverが1994年11月にリリースされています。これは、異なる3Dデータ形式間の変換を可能にし、ユーザビリティの向上に貢献しました。

特徴

サイクロンSolidは、モデリングからレンダリングまでをカバーする総合的な3DCGソフトウェアでした。特に、3DプリンティングやCAM用途に対応していた点は、当時のCGソフトウェアとしては特徴的であり、その多様な用途に貢献しました。さらに、バージョンアップごとに機能が強化され、VRML97対応版が登場するなど、時代のニーズに応じた進化を遂げました。

関連事項

サイクロンSolidは、当時存在した株式会社Z's TRIPHONY DIGITAL CRAFTという会社とも関連があります。同社が開発したソフトウェアとの連携があったのかは不明ですが、3DCG制作において、関連性が示唆される会社です。

参考資料

サイクロンSolidに関する書籍としては、以下のものが挙げられます。

『Windowsで楽しむ3Dアニメーションの世界 : サイクロンSolid & Luster編』 川口忠信 1995年 ISBN 978-4877192617
『日経パソコン 1992年9月28日号』 - この号に、サイクロンSolidに関する記事が掲載されている可能性を示唆。

これらの資料は、サイクロンSolidの登場から初期の活用状況を理解する上で貴重な情報源となります。

まとめ

サイクロンSolidは、1990年代の3DCG制作に大きな影響を与えたソフトウェアであり、モデリング、レンダリング、データ変換まで幅広い機能を提供していました。3DプリンティングやCAMといった当時の最先端技術にも対応し、その後の3DCG技術発展の一翼を担いました。コーエーというゲーム会社のソフトウェアでありながら、ゲーム業界以外でも広く利用された点も特筆すべきです。現在では、後継ソフトウェアや別のツールにその役割を譲っていますが、3DCGの歴史を語る上で欠かせない存在です。

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