サイレンのおひさま

THE BOOMの2枚目のアルバム『サイレンのおひさま』は、1989年12月1日にリリースされました。このアルバムは、THE BOOMがメジャーデビュー後に制作された初のオリジナル作品集であり、ボーカル宮沢和史の作詞家としての才能が開花し始めた時期の作品として知られています。

同時発売されたシングル「気球に乗って」は、天安門事件を題材にしたメッセージ性の強い楽曲であり、当時の社会情勢に対する宮沢の鋭い視点が反映されています。また、「僕のヒーロー」は、宮沢が敬愛するビートたけしへの想いを込めたユーモアあふれる楽曲であり、THE BOOMの音楽性の幅広さを示しています。

さらに、「ダーリン」は、核戦争後の世界で生き残ったゴキブリのつがいを描いたという、異色のテーマを扱った楽曲です。この曲は、人類の愚かさや生命の尊さを風刺的に表現しており、THE BOOMの音楽における社会的なメッセージ性を強く印象づける作品となっています。

2005年にはデジタルリマスター版が再発売され、ボーナストラックとして「僕がきらいな歌」が追加収録されました。この曲は、1990年に発表されたシングル「釣りに行こう」のカップリング曲であり、THE BOOMの初期の作品を楽しむことができます。

収録曲の「なし」は、2010年にテレビ朝日系のバラエティ番組『アメトーーク』の「梨大好き芸人」という企画の中で紹介され、再び注目を集めました。この曲は、郷愁を誘うメロディと歌詞が特徴であり、THE BOOMの音楽の魅力を再発見するきっかけとなりました。

アルバム発売後には、1990年1月30日から全国73ヶ所を巡る大規模な全国ツアー「サイレンツアー」が開催され、THE BOOMのライブパフォーマンスの魅力を全国に広めることとなりました。

『サイレンのおひさま』は、THE BOOMの音楽的な多様性と、宮沢和史の作詞家としての才能が凝縮された作品であり、日本の音楽史においても重要なアルバムとして評価されています。

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