サイレントヒル: ザ ショートメッセージ

サイレントヒル: ザ ショートメッセージ

『サイレントヒル: ザ ショートメッセージ』は、コナミデジタルエンタテインメントが2024年2月1日に無料配信を開始したホラーゲームです。人気ホラーゲームシリーズ『サイレントヒル』の約10年ぶりの新作として、大きな注目を集めました。

概要

本作は、シリーズの外伝にあたる短編作品であり、リメイク版『サイレントヒル2』や新作『サイレントヒルf』など、シリーズのリブート計画の一環として配信されました。シリーズ初のドイツを舞台としており、本編シリーズとの直接的な繋がりはありません。サイレントヒルそのものも登場せず、独立した物語が展開されます。

ストーリーは、SNSでのいじめや誹謗中傷、自殺、ネグレクトといった現代社会における深刻な問題を取り上げています。発表時点の現実社会における「生きづらさ」や「現代の病理」をテーマに、プレイヤーに深い問いを投げかけます。ゲーム画面はCGで構成されていますが、一部に実写のイベントムービーが挿入されており、物語にリアリティを与えています。主要人物である「マヤ」は、日本人俳優の阪口喜叶が演じています。

本作は、サイレントヒルを現代に蘇らせるプロジェクトの一環として、また、シリーズに10年以上の空白期間があったことから、今後のシリーズ展開に向けた研究とスタッフのノウハウ育成を目的として開発されました。近年、インディーゲームを中心に短編ホラーゲームが多数発表されていますが、その多くが主観視点であることから、「サイレントヒルを同様の短編主観視点ゲームとして開発した場合どうなるのか」という実験的な試みも兼ねています。

また、シリーズの魅力の一つである「サイコロジカルホラー」に焦点を当て、新規ユーザーにその魅力を伝えることを目指しています。従来の戦闘要素を排除し、怖さよりも不気味さを際立たせることで、精神的に追い詰められるような体験を提供します。直接的なホラー要素を抑え、「社会からジワジワと追い詰められていくような、息の詰まる社会圧」を描き出すことに重点が置かれています。

ストーリー

舞台は、新型コロナウイルスが蔓延した後のドイツ。貧困と衰退に苦しむ町「ケッテンシュタット」で暮らす高校生のアニタは、友人のマヤに呼び出され、自殺の名所として噂される廃墟マンション「ヴィラ」へと向かいます。ヴィラに足を踏み入れたアニタは、次々と怪奇現象に遭遇し、謎の怪物に襲われます。殺されても、自殺しても、時間が巻き戻り生き返るという状況の中、アニタは死という逃げ場のない廃墟を彷徨い、マヤからのメッセージを受け取ります。

「見つけるまで、ここから出られない」

ゲーム内容

ゲームは、『P.T.』と同様の一人称視点で進行し、戦闘要素や謎解き要素はほとんどありません。プレイヤーは、記憶や思いと対峙する「探索」パートと、クリーチャーから逃走する「逃走」パートを主体にゲームを進めていきます。

「探索」パートでは、各所に点在するイベントを体験したり、ファイルを読んだりしながら物語を紐解いていきます。従来のようなリソース管理は必要なく、セーブもオートセーブのみとなっています。クリア済みのチャプターは後から個別にプレイ可能です。

シリーズの他作品では、プレイヤーの行動によって結末が分岐するマルチエンディングが採用されていますが、本作は一本道のストーリーとなっており、エンディングも一種類のみです。また、テーマのセンシティブさから、従来のようなジョークエンドは導入されていません。

逃走

主人公は武器や戦闘能力を持っておらず、敵に遭遇しても逃げるしかありません。敵に遭遇すると逃走パートが開始され、入り組んだマップで敵に捕まらないように逃げ切る必要があります。敵に捕まると即死しますが、ゲームオーバーにはならず、逃走パートの開始直前に時間が巻き戻されます。敵が近づくほど、スマートフォンから響くノイズが大きくなります。逃走パートでは、方向転換せずに「後ろを振り返る」行動が可能です。

「絶対に勝てない相手から追い詰められる恐怖感」を重視し、「逃げるだけのゲーム」でも短編であれば最後まで楽しめるという考えのもと、製作されています。

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