サイ郡

ムアンサイ：ラオスの山間都市

ムアンサイは、ラオス北部に位置するウドムサイ県の県都であり、別名サイ郡とも呼ばれています。この地域は、その美しい自然景観と多様な文化で知られています。

名称の由来

ムアンサイの名前は、1323年に遡る伝説に由来します。かつて「タッカシラ」と呼ばれていたこの地で、村人が竹を切り、漁具を作っていたところ、瞑想修行のために森に消えていた僧侶が現れました。僧侶の問いかけに、村人は漁具を作っていると答え、食べ物を勧めました。この出来事から、村人は僧侶の名前「パサイ」にちなんで、町を「ムアンサイ」と改名したとされています。

歴史

1987年、ムアンサイはそれまで県都であったバンナヒンに代わって、ウドムサイ県の新たな行政中心地となりました。この移行は、地域の発展における重要な転換点となりました。

インフラ

ムアンサイは、ラオスの主要都市であるルアンパバーンと国道1号線で結ばれており、陸路でのアクセスが可能です。また、ムアンサイ空港（IATAコード：ODY、ICAOコード：VLOS）からは、ラオス国営航空が週3便、首都ヴィエンチャンへ運航しており、空の便も利用できます。空港は町の中心部から徒歩圏内という利便性も魅力です。

2021年12月には、中国ラオス鉄道のムアンサイ駅が開業し、鉄道での移動も可能になりました。駅は市街地から西に約3kmの場所に位置しています。さらに、ムアンサイでは電力供給も安定しており、都市インフラが整備されています。

人口構成

ムアンサイの主な住民は低地ラオ族ですが、クム族（ウドムサイ県全体の人口の約60%）の影響も大きく、近年では多くのクム族の人々が村からムアンサイに移住し、経済活動に従事しています。モン族（県全体の人口の約15%）も町の景観に影響を与えており、特に市場では色鮮やかなモン族の手工芸品が販売されています。また、周辺の村々からも多くの女性たちが、より良い価格で手工芸品を販売するために、何時間もかけてムアンサイの市場を訪れます。

県都の学校には、周辺の村から多くの子供たちが自転車や徒歩で通学しており、遠隔地の子供たちのための寄宿学校も存在します。ムアンサイには多くの華僑も居住しており、レストランや市場の風景に中国文化の影響が見られます。

地理と気候

ムアンサイは、緑の丘陵に囲まれた山間の盆地に位置しています。町の両側には丘がそびえ立ち、一方にはウドムサイ博物館、もう一方には仏教寺院があります。ウドムサイ県は、モンスーン気候に属しており、高地のため年間を通して気温差が見られます。特に乾季には気温が低くなります。

年間降水量は約1900mmから2600mmで、2月から3月にかけて平均気温は摂氏18-19度程度、4月から5月には摂氏31度以上になります。10月から1月にかけては、日中と夜間の気温差が大きく、特に朝晩は霧が発生しやすいです。霧は日中になると晴れ、正午頃から気温が上昇し始めます。町の中央にはナムコー川が流れており、豊かな自然を育んでいます。

ムアンサイは、その歴史、文化、地理的特徴が融合した魅力的な都市です。訪れる人々は、この地で独特の体験をすることができるでしょう。

もう一度検索