サウスポー (ピンク・レディーの曲)

サウスポー：ピンク・レディーの代表的シングル

「サウスポー」は、1978年3月にビクター音楽産業からリリースされたピンク・レディーの7枚目のシングルです。この曲は、日本のアイドルデュオとしての彼女たちの地位を確立する重要な作品となりました。

歌詞とテーマ

歌詞では、プロ野球界の著名選手、特に読売ジャイアンツの王貞治を彷彿とさせる一節が含まれています。「背番号1の凄い奴」や「フラミンゴみたいにひょいと一本足」という表現が印象的で、女性投手と男性野球選手の対決を面白おかしく描写しています。この楽曲の背後には、前年に話題となった小説「赤毛のサウスポー」や漫画「野球狂の詩」が影響していると言われています。もともと阿久悠が作詞した時期はプロ野球シーズンの開幕が間近に迫った頃で、時世と合致していたことも大きな要因とされています。

曲は1978年2月22日に川西文化会館で初めて披露され、翌月にはテレビ番組『スター誕生!』で初めて視聴者の前に登場しました。しかし、最初にレコーディングされたバージョンはあまりに地味で、「面白みがない」とディレクターの飯田久彦が判断し、急きょ再度作り直すことになったのです。その際、阿久は深夜に新しい歌詞を創作し、ギリギリの時間で再レコーディングを行いました。このクオリティの向上がなければピンク・レディーの人気は失速していたかもしれません。

歌詞の背後にあるモデル

歌詞の中で描かれている野球選手のモデルは、当時クラウンライター・ライオンズに所属していた左腕投手、永射保であるとも言われています。阿久は彼が王貞治を相手に見せた迫力ある投球に深い感銘を受け、この歌詞を書いたのです。また、ピンク・レディーのパフォーマンスには月刊明星の読者から公募された振り付けが採用されています。

成功と受賞歴

この「サウスポー」は、ピンク・レディーとして初めてオリコン初登場1位を獲得し、多くの受賞歴を誇ります。1978年には、日本歌謡大賞の大賞を受賞し、全日本歌謡音楽祭でもベストアクション賞を獲得しました。また、FNS歌謡祭では優秀歌謡音楽賞も受賞しており、シングルの累計売上は180万枚に達しました。

収録楽曲とカバー

シングルには「サウスポー」の他に「アクセサリー」も収録されています。発売当時の価格は600円でした。また、「サウスポー」はその後も多くのアーティストによってカバーされており、例えばSPEEDやW（辻希美・加護亜依）などがその代表例です。

CMや流用

「サウスポー」は、神州一味噌の即席みそ汁のCMでも使われましたが、実際には似た雰囲気の異なる曲が作られました。また、この曲は中日ドラゴンズの応援歌としても非常に人気であり、選手やチームによるアレンジが施されています。一部の歌詞の変更が求められたこともありましたが、その後も応援の定番として親しまれています。

ピンク・レディーの「サウスポー」は、今なお多くの人々に愛され続けており、アイドル音楽の中でも特に記憶に残る楽曲の一つとなりました。

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