サエイマ

ラトビアのサエイマ：立法府の役割と権限

サエイマ（Saeima）は、ラトビア共和国の唯一の立法機関です。一院制の議会として、国家の法律制定、予算承認、内閣への監視といった重要な役割を担っています。1991年の設立以来、ラトビアの民主主義発展に大きく貢献しています。

議会の構成と選挙

サエイマは100議席からなり、任期は4年です。ただし、憲法に基づき解散されることもあります。選挙制度は自由名簿式比例代表制で、全国を5つの選挙区に分割し、各区から14～29名の議員を選出します。選挙権は18歳以上のラトビア国民に与えられ、被選挙権は21歳以上の国民に与えられています。選挙は通常、選挙年の10月第1土曜日に実施されます。

行政との関係：大統領と内閣

サエイマと行政機関である大統領と内閣の関係は、議院内閣制に基づいています。

大統領は、サエイマの過半数（51名以上）の賛成によって間接選挙で選出されます。大統領の権限は限定的ですが、国民投票への付託を決定する重要な役割も持っています。

内閣は首相と各大臣から構成され、サエイマに対して責任を負います。サエイマは、内閣不信任決議によって首相または個別の大臣を罷免することができます。首相に対する不信任決議は内閣全体の総辞職を意味し、大臣に対する不信任決議は該当大臣の辞職を意味します。また、サエイマは首相または大臣に対して質問権を持ち、説明を求めることができます。緊急時には、内閣は国会会期中に法的効力を持つ法令を発布できますが、予算や税制など特定の事項については制限があります。

議会の運営と立法手続き

サエイマの会議は、大統領、首相、または3分の1以上の議員の要求によって召集されます。秘密会は、10名以上の議員、大統領、首相、または大臣の要求があり、3分の2以上の議員が賛成した場合に開催されます。議会の定足数は、議員総数の半数です。また、3分の1以上の議員の要求があれば、特定案件に関する調査委員会を設置することができます。

ラトビアの立法手続きは、国民投票制度との連携が特徴です。法律案の提出権者は大統領、内閣、サエイマ内委員会、5名以上の議員、または選挙権者の10分の1以上です。特に、選挙権者の10分の1以上の署名を集めた法律案は、サエイマで採択されない場合、国民投票に付託されます。

大統領は、法律案の可決後7日から21日以内に法律を公布しますが、公布前に再検討を求めることができます。また、大統領は法律公布を2ヶ月間留保することもできますが、その間に国民投票実施の要望や、議員の3分の2以上の再可決があれば、留保は解除されます。ただし、予算案や税制、宣戦布告など、国民投票に付託できない事項もあります。

憲法改正手続き

憲法改正は、出席議員の3分の2以上の賛成が必要です。第1章から第4章、第6章、そして憲法改正に関する条項は、必ず国民投票に付託されます。国民投票で過半数の賛成を得た場合にのみ憲法改正が成立します。選挙権者の10分の1以上が憲法改正案を提出することもでき、サエイマで否決された場合は国民投票に付託されます。

過去の選挙結果

サエイマの選挙は、4年ごとに実施されます。近年は、複数の政党が議席を獲得し、連立政権が組まれることが一般的です。過去の選挙結果からは、各政党の勢力変動や有権者の政治的志向の変化を分析することができます。（2018年、2014年、2011年、2010年、2006年の選挙結果の詳細については、資料を参照ください。）

まとめ

サエイマは、ラトビア共和国の民主主義を支える重要な機関です。国民投票制度との連携など、独特の立法手続きや、大統領・内閣との複雑な関係は、ラトビアの政治システムを理解する上で重要な要素となっています。今後のサエイマの動向は、ラトビアの政治、経済、社会の発展に大きな影響を与えるでしょう。

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