サガリラン

サガリラン（ハゴロモムカデラン）

サガリラン、学名 Diploprora championiiは、サガリラン属に属する常緑の着生多年草です。この植物は、主に奄美大島に分布し、渓流沿いや樹上、さらには岩に多数の長い気根を使って自らを固定し、時折下垂する姿が見受けられます。サガリランはその特有な見た目から、多くの植物愛好家に親しまれています。

特徴

サガリランは分枝をしない茎を持ち、気根はまばらに側生します。これらの気根の長さはおおよそ5cmから20cmの範囲で、垂れ下がる一方、先端は上を向いて成長します。葉は二列に互生しており、数枚から十数枚の葉をつけることがあります。葉身は革質の狭長楕円形で、長さは5cmから7cm、幅はおよそ15mmです。

さらに、この植物には共生菌が関与しており、ツラスネラ科及びケラトバシディウム科からそれぞれ1種の菌根菌が知られています。これにより、サガリランは栄養を効率的に吸収することが可能となっています。

花が咲くのは6月から7月にかけてで、花茎は腋生に位置しています。1つの花茎には数個の花が付き、花の直径は約15mmです。萼片と側花弁は黄色をしており、同じ形状ながら側花弁はやや小さめで、倒披針形または倒卵形をしています。さらに、蕊柱は白く、わずかに淡紅紫色を帯びており、短く直立しています。唇弁は白く、内部には紅色の班が見られ、基部はボートの形状をしています。距は存在せず、先端は細く二裂します。また、花粉塊は4個で蝋質の特性があります。

2013年から奄美大島の5市町村において、自然保護条例が施行され、サガリランの採取は厳しく禁止されており、その保護が進められています。このような取り組みにより、サガリランの生息域内における環境保護が図られています。

近年では、サガリランの域外保全に関する研究も行われており、ガラス容器内での開花に成功した事例も報告されています。これにより、将来的にサガリランを育成する新たな方法が模索されることが期待されています。

分布

サガリランは国内では奄美大島のみに自生し、国外では台湾、南西部の中国、東南アジア、ヒマラヤ、スリランカ、インド南部まで広がっています。この特有の分布には、地域特有の環境条件が深く関わっており、それぞれの地域での保護と理解が重要です。メインの自生地域である奄美大島の自然環境を守ることは、サガリランを将来にわたって守るために不可欠です。

参考文献

• - 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』、2015年、平凡社
• - 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）
• - 日本植物分類学会（2025）『サガリラン』環境省（編）第5次レッドデータブック：絶滅のおそれのある日本の野生生物。
• - 日本のレッドデータ検索システム

このように、サガリランについて深く理解することは、その保護と育成に寄与します。

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