サスピシャス・マインド

「サスピシャス・マインド」（原題：Suspicious Minds）は、マーク・ジェイムズによって1968年に作詞作曲された楽曲です。彼は同年に自身のシングルとしてこの曲を発表しましたが、その名を知らしめたのは、エルヴィス・プレスリーが1969年にカバーしたバージョンでした。プレスリー版は全米チャートで1位を獲得し、彼のキャリアにおいて重要な転換点となりました。

楽曲の誕生とエルヴィスによるレコーディング

マーク・ジェイムズは、プロデューサーのチップス・モーマンと共に自作の「サスピシャス・マインド」を1968年に発表しました。しかし、この楽曲が真に輝きを放ったのは、エルヴィス・プレスリーがレコーディングしてからです。

1969年1月、プレスリーはメンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオでこの曲をレコーディングしました。レコーディングは複数のテイクを重ね、最終的にテイク8がマスターテイクとして採用されました。プロデューサーのフェルトン・ジャーヴィスは、エンジニアのビル・ポーターにホーンセクションのオーバーダビングを依頼しましたが、当時の技術的な制約から、テープのトラックが全て使用済みであったため、ミックスと同時に演奏をダビングするという高度な手法が用いられました。この作業は、ステレオミックス用とモノラルミックス用とで2度行われました。

ミックスとプレスリーの反応

最終的なミキシングはプレスリーとチップス・モーマンによって決定されましたが、プレスリーのマネージャーであるパーカー大佐がそれを勝手に変更しました。新たなコーラスが追加され、一度フェードアウトしてから再びフェードインするという、大胆な編集が加えられました。この変更にプレスリーは激怒したと、彼の元妻であるプリシラは語っています。

リリースとチャートでの成功

「サスピシャス・マインド」は、1969年8月26日にシングルとしてリリースされ、同年11月1日付のBillboard Hot 100で1位を獲得しました。これはプレスリーにとって7年ぶりの全米1位であり、彼の復活を印象づける出来事となりました。また、このシングルはプレスリーの生涯において最後の全米1位獲得シングルとなりました。彼のキャリアを代表する一曲として、この曲は広く知られています。

その他のメディアでの露出と評価

この曲は、映画『エルビス・オン・ステージ』（1970年）のコンサートシーンでも使用され、多くの人々の記憶に残っています。さらに、「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では、2021年版で70位にランクインするなど、音楽史における重要な楽曲の一つとして評価されています。

「サスピシャス・マインド」は、単なるヒット曲に留まらず、エルヴィス・プレスリーのキャリア、そして音楽史においても重要な足跡を残した一曲として、今後も語り継がれていくでしょう。

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