サセックス・ポンド・プディング

サセックス・ポンド・プディングの魅力

サセックス・ポンド・プディング（Sussex pond pudding）は、イギリスのサセックス地方で親しまれている伝統的なプディングです。その名の通り、日本語に訳すと「サセックスの池のプディング」となり、見た目は一見普通のプディングですが、内部には驚くべき具材が隠されています。

プディングの構造

このプディングの特徴は、何と言っても中に丸ごとのレモンが入っている点です。これに加えて、レモンの風味を引き立てるために砂糖と脂肪が使われ、加熱することで溶け出したこれらの材料が皿に流れ出し、まるで池のような見た目になるのです。このユニークな演出が「サセックス・ポンド・プディング」の名の由来となっています。

バリエーションと他のプディング

さらに、サセックス・ポンド・プディングにはバリエーションも存在します。丸ごとレモンの代わりに、カランツ（干しぶどうの一種）を入れたプディングは「ケンジントン・ウェル・プディング（Kentish well pudding）」と称され、こちらも名称の「ウェル」は流れ出てくるソースを意味しています。続いて、このプディングの特徴として、バターではなく「スエットペストリー」という、牛の脂肪を使用した生地が用いられる点も挙げられます。これは、当時バターよりも手頃な価格であったためです。

調理法と伝統

サセックス・ポンド・プディングは、伝統的に3時間ほど蒸して作られます。この調理法はプディングのしっとりとした食感を引き出します。また、外側の生地が蒸しあがることで、中のレモンと砂糖、脂肪がとけて一体化し、その結果として得られる甘酸っぱいソースが特徴的な味わいを持つのです。

歴史的背景

サセックス・ポンド・プディングの名称が初めて文献に記載されたのは、1672年にハナ・ウリーが著した家政書『女王のような戸棚』です。ただし、当時はレモンではなくリンゴが使われたレシピが記されていました。この時期にレモンがリンゴに代わった経緯は不明ですが、今日ではレモンを使ったプディングとして広く知られています。

まとめ

サセックス・ポンド・プディングは、そのユニークな見た目と風味から、単なるデザートを超えた存在感を持っています。イギリスの伝統的な家庭料理のひとつとして、多くの人々に愛され続けており、特別な日やお祭りの際には欠かせない一品となっています。このプディングは、美味しさのみならず、その背後にある歴史や伝統をも楽しむことができる魅力的な料理です。

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