サツキコカ・コーラキャンニング

サツキコカ・コーラキャンニングとは

サツキコカ・コーラキャンニングは、かつて日本に存在した、缶製品に特化したコカ・コーラの製造会社です。その設立から三国コカ・コーラボトリングへの吸収合併まで、日本のコカ・コーラビジネスにおける重要な役割を担いました。

設立の背景

1960年代、日本コカ・コーラは缶入り製品の生産を自社で行う方針でした。当初は明治製菓小田原工場に委託していましたが、需要の増加に対応するため、1967年に大阪工場、1971年には埼玉工場を建設しました。この埼玉工場が、サツキ社の原点となります。

しかし、缶製品の需要は急増し、自社工場だけでは供給が追いつかなくなりました。また、各地のボトラーからも自社での缶製品生産を求める声が高まり、日本コカ・コーラは方針を転換。各ボトラーへのキャンニングライン設置を許可するようになりました。

三国コカ・コーラボトリングも自社での缶製品生産を希望していましたが、日本コカ・コーラから工場買収の打診を受けます。そこで、三井物産と共同で工場を買収し、1978年にサツキ飲料株式会社を設立。その後、サツキコカ・コーラキャンニング株式会社に商号を変更し、営業を開始しました。

サツキ社の役割

サツキ社は、最新鋭のキャンニング工場として、以下の3つの機能を担いました。

1. 高速充填が可能な製造設備による缶製品の大量生産
2. 三国社の設備では製造できない製品の委託生産
3. 自社工場にキャンニングラインを持たないボトラーへの製品供給

特に、みちのくコカ・コーラボトリングや長野コカ・コーラボトリングなど、自社で缶製品を製造できないボトラーにとって、サツキ社は重要な供給源でした。

製造ラインと供給先

サツキ社には、複数の製造ラインがあり、様々なサイズの缶製品を製造していました。

1号機・2号機: 250ml炭酸缶製品
3号機: 350ml/500ml炭酸缶製品
4号機: 果汁飲料（HI-Cエードなど）
5号機: ジョージア製品
ポストミックスシロップライン: カップベンダー用シロップ

サツキ社は、みちのくコカ・コーラボトリング、仙台コカ・コーラボトリング、三国コカ・コーラボトリング、長野コカ・コーラボトリング、北陸コカ・コーラボトリングなど、多くのボトラーに製品を供給していました。また、各ボトラーの設備では対応できない製品（HI-Cエード、ファンタグレープ、コカ・コーラ500ml缶など）も製造していました。

三国コカ・コーラボトリングへの吸収合併

1985年、サツキ社は三国コカ・コーラボトリングに吸収合併され、同社の埼玉第二工場となりました。その後、2017年現在ではコカ・コーライーストジャパン埼玉工場として、関東地方を中心に缶製品を製造・出荷しています。

東洋製罐との関係

コカ・コーラの工場に隣接して東洋製罐の工場が建設されている例がいくつかあります。これは、「バイプラント方式」と呼ばれる、缶をリアルタイムで製造・供給する方式を採用しているためです。これにより、缶の供給側・買い入れ側の両社でコストダウンが可能になります。東洋製罐は、日本のコカ・コーラボトラーの多くに出資しており、三国社にも大株主として名を連ねています。

参考文献

みくに爽やか25年史　三国コカ・コーラボトリング（1988年10月）
* あすへの挑戦:企業ドキュメント三国コカ・コーラ 埼玉新聞社（1988年5月）

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