サブスタンス (ジョイ・ディヴィジョンのアルバム)

ジョイ・ディヴィジョン『サブスタンス』：未発表音源集によるバンドの軌跡

1988年、ジョイ・ディヴィジョンによって発表されたコンピレーションアルバム『サブスタンス (Substance 1977-1980)』は、バンドの初期から活動終盤にかけての貴重な音源を収録した作品として知られています。このアルバムは、彼らのスタジオアルバムには収録されなかった楽曲の数々を網羅しており、ジョイ・ディヴィジョンの音楽性を多角的に理解する上で、極めて重要な役割を果たしています。

アルバムには、1977年から1980年にかけて録音された楽曲が収録されており、その中にはシングルカットされた楽曲や、EPに収録されていた楽曲、そしてこれまで世に出ることのなかったレア音源などが含まれています。LPレコード版は10曲を収録していますが、CD版にはさらに7曲のボーナス・トラックが追加され、計17曲が収録されています。ジャケットデザインもLP版とCD版では異なっており、コレクターズアイテムとしての価値も高いと言えるでしょう。

特に注目すべき点は、アルバムに収録されている楽曲の多様性です。シングルとしてリリースされ、人気を博した『Transmission』や『Atmosphere』、そして『Love Will Tear Us Apart』といった楽曲はもちろんのこと、EP『Ideal for Living』からの数曲や、ファクトリー・レコードのオムニバスアルバム『A Factory Sample』に収録されていた楽曲なども含まれています。さらに、『Earcom 2』といった、よりマニアックな音源も収録されており、ジョイ・ディヴィジョンを深く知るファンにとってはこの上ない喜びとなるでしょう。

これらの楽曲は、バンドの初期の荒削りで実験的なサウンドから、後の洗練されたポストパンクサウンドへと進化していく過程を鮮やかに示しています。また、それぞれの楽曲に込められた、独特の陰鬱でメランコリックなムードは、多くのリスナーの心を捉えて離しません。

イギリスでは、『サブスタンス』に先駆けてリリースされた『Atmosphere』の再発シングルが全英シングルチャートで34位を記録し、その人気を証明しました。『サブスタンス』自身も全英アルバムチャートで7位という好成績を収め、さらにアメリカでもチャートインを果たすなど、世界的に高い評価を得ています。ジョイ・ディヴィジョンのアルバムとしては初めてアメリカでチャートインしたという事実は、彼らの音楽が国境を越えて受け入れられたことを示す重要な指標となっています。

『サブスタンス』は、単なるコンピレーションアルバムの枠を超え、ジョイ・ディヴィジョンの音楽史における重要な位置を占める作品です。彼らの代表曲だけでなく、知られざる隠れた名曲の数々を聴くことができるこのアルバムは、ジョイ・ディヴィジョンファンはもちろん、ポストパンクやニューウェーブミュージックに興味を持つ全ての人にとって、必聴のアルバムと言えるでしょう。 アルバムを通じて、バンドの才能と創造性を改めて認識し、彼らの音楽の奥深さを再発見できるはずです。 このアルバムは、彼らの短いながらも輝かしいキャリアを改めて振り返る、貴重な機会を提供してくれるでしょう。

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