サブハー県

サブハー県は、リビア中部のフェザーン地方に位置する県であり、県都は人口約13万人のサブハーです。この地域は、サハラ砂漠の一部であるリビア砂漠の北西部に広がっており、その地理的特性が住民の生活や文化に大きな影響を与えています。

地理と交通

サブハー県は、北でワジ・アル・シャーティー県、東でジュフラ県、南でムルズク県、西でワジ・アル・ハヤー県と隣接しています。県都サブハーには国内線の小さな空港があり、サブハー空軍基地も存在します。交通の要所としての役割も担っています。

住民構成

住民のエスニシティは、主にアラブ人、ベドウィン、サブサハラアフリカの黒人の混血です。しかし、混血でない人々もそれぞれの民族に所属し、多様な文化が共存しています。この多様性が、サブハー県の社会的な特徴の一つとなっています。

観光資源

観光地としては、湧水が湖をなしたガベルーンのオアシスや、サブハー郊外のベドウィンの集落跡があります。これらの観光資源は、砂漠の中の貴重な存在として、訪れる人々を魅了しています。

リビア内戦とその後

リビア内戦では、最後までカダフィ軍が県の大部分と都市を掌握していましたが、2011年9月11日にリビア国民評議会がサブハーを接収しました。内戦の影響は大きく、その後の復興が課題となっています。

危険なバス路線

サブハー県は、サハラ以南のアフリカ、マグリブ、ニジェールといったサヘル諸国からの合法・非合法の旅客バスが通過する地点でもあります。国境からサブハー市までの道のりは7日間にも及び、リビア砂漠を横断するため、国内で最も危険なバス路線のひとつとされています。運転手は道を見失う危険性があり、そうなれば乗客はしばしば餓死するという過酷な状況です。ガーナやトーゴ、スーダンの人々もサブハー県を通ってリビアに、あるいはトリポリをはじめとする北アフリカの地中海港湾都市を経由してヨーロッパに出稼ぎに行く人々もいます。

サブハー県は、その地理的な位置、多様な住民構成、観光資源、そして抱える課題など、様々な側面から興味深い地域です。しかし、危険なバス路線の存在は、この地域の安定と発展を阻害する要因となっています。今後の課題として、安全な交通システムの構築と、地域住民の生活水準の向上が挙げられます。

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