サブロック (ミサイル)

サブロック（UUM-44）

サブロックは、アメリカ海軍の核弾頭搭載の潜水艦発射型対潜ミサイルです。その正式名称はUUM-44で、これは「SUBmarine launched ROCket」の略称から取られています。本ミサイルは、潜水艦から発射されることを目的として設計されており、1940年代末から1950年代にかけて、特に冷戦下において開発されました。

設計と性能

サブロックは、アメリカ海軍の標準的な21インチ（約533mm）魚雷発射管に適合するように、円筒形状でコンパクトに設計されています。ミサイルは全長約6.4メートルで、発射後は水中でサイオコールTE-260G型の固体ロケットエンジンを点火して上昇します。その後、超音速で飛行し、目標付近に達する際には弾頭を分離して投下します。この弾頭はW55型の核弾頭であり、設定した深度で爆発し、周辺に壊滅的な被害をもたらすことができます。射程は最大で55kmにも達するため、魚雷に比べて優れた長射程を持つ兵器といえるでしょう。

このミサイルは、1964年から部隊に配備され、1970年代初頭まで生産が続けられました。生産台数は280から300発とされています。また、弾頭の威力は5ktから250ktの間で変動するとされており、核弾頭であるため高精度な照準を必要としません。炸裂範囲内の目標には壊滅的な影響を与える能力があり、対潜だけでなく副次的な対艦・対地攻撃に用いられることも想定されていました。

運用と歴史

実戦での使用はなかったものの、サブロックは冷戦時代の戦略兵器として重要な役割を果たしました。特に1960年代から1970年代にかけてソ連海軍との緊張関係の中、アメリカ海軍はこの兵器を保有し続けました。しかし、1989年から1992年にかけて全てのサブロックが退役となり、その後は新型のミサイルシステムの導入が進められました。

後継として計画されていたUUM-125シーランスは資金問題により開発が遅延し、最終的には1990年に中止となったことも興味深い事実です。また、サブロックの運用には特異な戦術も考えられており、ソ連の705型潜水艦をビーコンとして利用し、その近くにいるソ連艦艇も含めて攻撃する戦略もあったとされています。

文化的影響

サブロックは、文学や映画などの作品にも登場します。たとえば、山田正紀の冒険小説『白の協奏曲』では、サブロックが東京湾からの攻撃に利用されるテロリズムの一部として描かれています。また、映画『復活の日』では、イギリス海軍の潜水艦がサブロックを使用してソ連の潜水艦を攻撃するシーンがありますが、実際にはイギリス海軍がこのミサイルを保有することはありませんでした。

サブロックは、アメリカ海軍にとって一時期重要な兵器であったものの、冷戦の終結とともにその役割を終え、今では歴史の一部として語られる存在となっています。

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