サボテンの花 (曲)

サボテンの花

『サボテンの花』は、日本のバンド「チューリップ」による楽曲で、1975年2月5日にリリースされた通算8枚目のシングルです。作詞・作曲は財津和夫が手掛けており、彼自身によるセルフカバーでも知られています。この曲は、失恋体験と生まれ育った福岡での思い出を結びつけた作品として、多くの人の心に響いています。

背景と楽曲の意図

この曲の誕生のきっかけは、財津和夫が実家を訪れた際、母が育てていたサボテンの花に感動したことにあります。花の美しさは彼の心に深く刻まれ、その思いを形にするために歌詞を紡ぎました。また、前年にヒットした山本コウタローとウィークエンドの『岬めぐり』から影響を受けたといいます。当初、財津はこの曲を「アンサーソング」として作詞するつもりであったと明かしています。

さらに、彼は当時の恋人との思い出もこの曲に込めています。具体的には、恋人が彼の家で靴下を洗っていた情景が頭に浮かび、そのイメージが歌詞に反映されています。ただし、曲の全てが実際の出来事に基づいているわけではありません。財津は失恋を題材にしながらも、曲の終わりを「ラララ…」と希望に満ちた形で締めくくっています。これは、「恋人が去って行っても、春が来れば再生し、自らも歩き出す」というポジティブなメッセージを持たせるためです。

レコーディングのエピソード

興味深い事実として、レコーディング中に財津は1番の歌詞を「窓に降りそそぐ」と誤って歌い、そのまま録音が進められたことがあります。このミスは関係者の誰にも気づかれず、曲として正式にリリースされることとなりました。後に財津は、自分の間違いに気づいた際には驚いたと語っています。

ドラマとの関連性

本曲はフジテレビのドラマ『ひとつ屋根の下』の主題歌としても使用されました。1993年には、本曲がリバイバルヒットし、シングルリリースから18年後も多くの人々に親しまれる楽曲へと成長しました。ただし、ドラマ内で使用されたのは財津のセルフカバー「サボテンの花〜ひとつ屋根の下より〜」であり、オリジナルバージョンではありません。1997年には『ひとつ屋根の下2』でもこの曲が再び主題歌に選ばれました。

シングルとアルバム情報

『サボテンの花』は、1975年のオリジナルシングルに続き、1997年には再結成時に新たに録音されたバージョンとしてもリリースされています。また、チューリップとしては初めての8センチCDとしてもリリースされ、その後も様々なセルフカバーやリメイク版が登場しています。財津和夫は自身のアルバムやシングルの中でもこの曲を再度収録し、広く認知されています。

現代での使用と影響

『サボテンの花』は、時が経つにつれ色あせることなく、その歌詞とメロディがいまだ多くの人に愛されています。たとえば、2013年に放送されたトヨタのCMや、2019年のサントリー・カフェ・ド・ボスのCMソングとしても採用されました。また、他のアーティストによるカバーも多く、ジョージ・ラムや中西保志など、さまざまなアーティストが手掛けています。

このように、財津和夫が讃えた花のように、永遠に愛され続ける名曲『サボテンの花』は、日本の音楽シーンにおいて欠かせない存在となっています。

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