サポーター (紋章学)

紋章を支えるもの：サポーターの役割と多様な表現

紋章学において、エスカッシャン（盾）を両側から支える存在として描かれるのがサポーターです。主に動物や人物が用いられますが、植物や、動物や人物以外のもので表現されることもあります。その選択は、地域的な特徴や歴史的なつながりを反映していることが多く、紋章のデザインに深みと個性を与えています。

多様なサポーター：動物、人物、そしてそれ以外

サポーターとして最も頻繁に見られるのは、実在または想像上の動物と人物です。イギリスの例を見てみると、コーンウォールの議会紋章では漁師とスズの坑夫が、イギリス国章ではイングランドのライオンとスコットランドのユニコーンがサポーターとして描かれています。これらの選択は、それぞれの地域の主要産業や象徴的な生き物と深く結びついています。

しかし、動物や人物以外にも、サポーターとしてさまざまなものが用いられる場合があります。例えば、栄養学者ジョン・ボイド・オアの紋章は小麦束（ガーブ）を、アメリカ海軍ミサイル駆逐艦ドナルド・クックの紋章はミサイルを、ブラジルのリオグランデ・ド・ノルテ州の紋章は樹木をサポーターとしています。スペインのバレンシアの紋章に至っては、アルファベットの「L」がサポーターとして用いられています。

人物がサポーターとして描かれる場合、寓話的な人物であることが多いですが、まれに、その都市の名前の由来となった人物がサポーターとして描かれることもあります。

サポーターの数と配置：多様なパターン

通常、サポーターは盾の左右に1つずつ配置されますが、盾の後ろに1つ、または複数配置される場合もあります。コンゴ共和国の国章は、盾の後ろに2つのサポーターを配置する珍しい例です。1つのサポーターのみの場合、スコットランドのパースの紋章のように、単頭または双頭のワシが用いられることが多くあります。一方、カナダの一部の聖堂では、司教座がサポーターとして描かれています。

さらに珍しい例として、スコットランドのダンダス家の紋章は、通常位置の赤いライオンに加え、サンショウウオが全体の盾を支えるという、3つのサポーターを持つ構成になっています。アイスランドの国章は、4つのサポーターを持つ例として知られています。

動物サポーターの姿勢：ランパント

動物のサポーターは、多くの場合、ランパントと呼ばれる姿勢で描かれます。ランパントとは、四肢を持つ動物が、前肢を上下に広げ、後肢だけで立ち上がった姿勢です。この姿勢は自然界では見られないものであり、紋章においては、力強さや勇ましさを表現する効果があります。ただし、例外もあり、オランダのザーンスタットの紋章にあるクジラはランパントの姿勢ではありません。

サポーター：紋章デザインにおける重要な要素

サポーターは、紋章全体のデザインに重要な役割を果たします。その種類、数、配置は、紋章の持つ意味や象徴性を豊かにし、より複雑で興味深い表現を生み出しています。地域や歴史、文化を反映するこれらの多様なサポーターは、紋章学において、紋章の持つ奥深い意味を理解する上で欠かせない要素となっています。

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