サミュエル・モリソン

サミュエル・エリオット・モリソン

サミュエル・エリオット・モリソン（1887年7月9日 - 1976年5月15日）は、アメリカの海軍少将であり、著名な歴史家としても知られている。彼の作品は海事史において信頼性が高く、それでいて文学的な優秀さを兼ね備えている。モリソンは、1912年にハーバード大学から博士号（Ph.D.）を取得し、その後40年間にわたり同大学で教授として教鞭を執った。

幼少期と教育

彼はボストンで生まれ、知識人を多く輩出するエリオット家の一員として育った。若い頃から文献や歴史への興味を持ち、ノーブル・アンド・グリーノー・スクールやセント・ポールズ・スクールを経て、ハーバード大学に入学。そこで文学士を取得し、その後も精力的に学問に励むことになる。ハーバードでの学びは、彼の歴史的著作の基礎を築く重要な期間であった。

歴史学者としての道

モリソンは、1913年に最初の著作『The Life and Letters of Harrison Gray Otis』を発表し、一躍歴史家としての地位を確立した。第一次世界大戦中はアメリカ陸軍に従軍し、戦後は国際政治にも携わる。フランスのオックスフォード大学では、アメリカ史の教授に就任し、名を馳せる。

彼の研究は特にニューイングランドの歴史にフォーカスしており、1921年に出版した『The Maritime History of Massachusetts, 1783-1860』は、その一環である。1930年代にはハーバード大学に再び戻り、教授としてより多くの研究と著作を発表する。

コロンブスと海軍戦史の執筆

モリソンの名を広く知らしめたのは、1942年の著作『Admiral of the Ocean Sea』だ。このコロンブスに関する伝記は、彼の航海に関する知識と実体験を基にしており、後にピューリッツァー賞を受賞する。モリソンは、また海軍の歴史も執筆することになり、アメリカ海軍の第二次世界大戦における作戦について詳しくまとめた『History of United States Naval Operations in World War II』が1947年から1962年にかけて全15巻として発表される。

軍務期間とその後の業績

1942年、モリソンはアメリカ海軍に少佐として入隊し、名誉ある立場で戦時に貢献し続ける。戦後は再び執筆活動に専念し、数多くの著書を発表。特に、コロンブスやジョン・ポール・ジョーンズに関する著作が多く、その結果、ピューリッツァー賞を再度獲得することになる。彼の作品は、アメリカの歴史における重要な節目を描くものであり、その価値は後世においても高く評価され続けている。

私生活と死去

モリソンの私生活は、最初の妻との間に4人の子供をもうけるなど、充実したものであったが、1945年に妻を失い、その後1949年に再婚した。しかし、時が経つにつれ私生活における悲しみも多く経験した。1976年、モリソンは発作により亡くなり、その遺灰はメイン州に葬られた。

功績と評価

モリソンはその業績に対して数多くの名誉を授与され、名誉博士号や各種文学賞を受賞する。彼の影響力は大学だけでなく、海軍の歴史においても計り知れないものがあり、教育、文献、海軍史における先駆者として位置付けられる。

モリソンの仕事は、ただ単に歴史を記録することにとどまらず、アメリカの海洋史や文化への深い理解を提供し、後の世代に多大な影響を与え続けている。彼の遺した著作は、詳細な研究と豊かな表現力により、今もなお読み継がれ、多くの人々に刺激を与えている。

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