サム・ランシー

サム・ランシー：カンボジアの政治家

サム・ランシー（សម រង្ស៊ី、Sam Rainsy、1949年3月10日 - ）は、カンボジアの政治家です。財務大臣、国民議会議員、カンボジア救国党（CNRP）の初代党首、サム・ランシー党（SRP）の初代党首、クメール国民党（KNP）の初代党首などを歴任しました。

生い立ちと経歴

1949年、プノンペンで生まれたサム・ランシーは、1965年にフランスへ移住し、パリの金融企業で常務取締役兼投資顧問として活躍しました。1992年にフンシンペック党の一員としてカンボジアへ帰国し、翌年にはシェムリアップ州の州議会議員に選出されました。財務大臣を務めたものの、1994年に不信任決議を受け議会を追放。1995年にはクメール国民党（KNP）を設立し、1998年の国民議会選挙前にサム・ランシー党（SRP）と改名しました。この選挙でコンポンチャム州の州議会議員に選出され、SRPは14%の得票率を獲得、2003年の選挙では22%にまで得票率を伸ばしました。

国外逃亡と帰国

その後、SRP幹部の逮捕や訴追を受け、2005年に国外へ逃亡。カンボジア人民党とフンシンペックの連立政権を批判し、SRP支持者殺害事件へのフン・セン首相の関与を主張したことで名誉毀損で告訴されました。米国大使館などが政府による抵抗勢力抑圧を懸念する中、2005年12月に名誉毀損の罪で懲役刑と賠償金の支払いを命じられましたが、2006年2月に国王の恩赦を受けカンボジアに帰国しました。

国境問題への関与と再び亡命

2009年10月、サム・ランシーはカンボジアとベトナムの国境画定に抗議するため、国境標識を引き抜いたとしてベトナム政府から非難を受けました。カンボジア政府からも訴追され、2010年には民族対立の扇動と器物損壊罪で懲役10年の判決を受け、再びフランスへ亡命しました。2013年に再び恩赦を受け帰国しますが、総選挙への立候補は認められませんでした。

政界復帰と失脚

選挙後、不正を訴え国民議会をボイコットしましたが、フン・セン首相との会談を経て議会に復帰。しかし、2016年には国境問題に関する虚偽の情報を流布したとして禁錮刑を言い渡され、2017年には救国党党首を辞任し、再び国外へ逃れました。フン・セン政権による政党法改正により、党首の有罪判決が政党解散の理由となり得る状況となり、辞任は避けられない状況でした。

現在

2022年10月、プノンペンの裁判所は国土を外国組織に譲渡しようとしたとして、サム・ランシーに終身刑を言い渡しました。

家族

父は教育相や官房副長官を務めたサム・サリー、母はカンボジア人女性初のバカロレア取得者であるイン・エムです。祖父のサム・ネアンは王宮に仕え、カンボジア民主党の有力メンバーでした。妻はSRP党員のTioulong Samuraで、3人の子供がいます。また、自身と妻の祖先に中国系の血を引いていることを公言しています。

学歴

経営学修士（INSEAD フランス・フォンテンブロー校、1980年）
会計学（フランス文部科学省、1979年）
経済学（パリ大学、1973年）
政治学（パリ政治学院、1971年）

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