サヨナラ (映画)

作品概要

『サヨナラ』（Sayonara）は、1957年に公開されたアメリカ合衆国の恋愛映画です。監督はジョシュア・ローガン、主演はマーロン・ブランドと高美以子が務めました。ジェームズ・ミッチェナーの同名小説が原作となっています。

背景とテーマ

物語の舞台は、朝鮮戦争下の1950年代の日本です。当時の社会において、アメリカ軍の兵士と日本人女性との間に芽生える恋愛は、文化の違いや制度的な制約から、大きな偏見と困難に直面するタブー視された関係でした。本作は、そうした厳しい時代背景の中での、国境を超えた愛とその悲劇的な側面を深く描いています。

ストーリー

主人公は、朝鮮戦争で戦果を上げたパイロット、ロイド・グルーバー少佐（マーロン・ブランド）。彼は同僚のケリー（レッド・バトンズ）と共に日本の関西地方へ転任します。ある夜、グルーバーはレビュー劇場を訪れ、そこで花形スターであるハナオギ（高美以子）の圧倒的な魅力に惹きつけられます。ケリーの恋人であるカツミ（ナンシー梅木）の計らいにより、グルーバーはハナオギと出会う機会を得ます。当初、戦争で家族を失ったハナオギはアメリカ人に対して複雑な感情を抱いていましたが、グルーバーの誠実な人柄に触れるうちに、次第に心を開き、二人は互いに深く愛し合うようになります。

しかし、二人の前には様々な壁が立ちはだかります。当時のアメリカ軍の規則では、日本人との結婚は原則として認められていませんでした。また、ハナオギが所属する歌劇団では、スターの結婚は即引退を意味しました。社会の目と組織の規範が、二人の愛に重くのしかかります。さらに、周囲からの偏見や将来への絶望を感じていたケリーとカツミが、悲劇的な結末を迎える出来事が起こります。この悲劇は、グルーバーとハナオギの関係にも大きな影響を与え、ハナオギはグルーバーとの別れを決意し、東京公演を理由に彼の元を離れます。しかし、グルーバーは彼女を諦めきれず、東京へ追いかけ、再びハナオギに想いを伝えます。

日本の描写とロケ地

本作には、当時の日本の風景や文化が随所に描写されています。撮影は神戸港、奈良あやめ池遊園地（空撮）、昭和30年代の伊丹エアベース（現・大阪国際空港）での戦闘機シーン、大阪松竹歌劇団をモデルとした劇団の公演シーン、歌舞伎座（東京）、京都の街並みなど、日本各地で行われました。これらのシーンは、当時の日本の社会や文化、雰囲気を伝える上で重要な役割を果たしています。

受賞と評価

『サヨナラ』は、その高い芸術性とテーマ性から、数々の栄誉に輝きました。特に第30回アカデミー賞では、レッド・バトンズが助演男優賞を、ナンシー梅木が助演女優賞を受賞し、ナンシー梅木はアジア人初のオスカー俳優となりました。その他、美術賞と音響賞も受賞しています。批評家からの評価も高く、映画レビューサイトRotten Tomatoesでは、15件の評論中93%が肯定的評価を与え、平均点は10点満点中7.3点となっています。

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