サヨナラバス

ゆずの代表曲「サヨナラバス」：楽曲解説と歴史

1999年3月17日、セーニャ・アンド・カンパニーより発売されたゆずの5枚目のシングル「サヨナラバス」。8cmシングルとしてはゆずにとって最後の作品であり、彼らのキャリアにおいて重要な位置を占める楽曲です。

楽曲の概要と制作背景

表題曲「サヨナラバス」は、北川悠仁が作詞作曲を手掛けた、ゆずの初期の代表曲の一つです。どこか物悲しいメロディーと、ノスタルジックな歌詞が特徴的で、多くのリスナーの共感を呼んでいます。イントロから静かに始まる曲調は、路上ライブ時代より遅いテンポですが、ドラムの導入により、ゆったりとしたテンポでありながらも、楽曲全体に躍動感を与えています。雑誌のインタビューで北川悠仁は、ドラムの導入により遅さを感じさせない仕上がりになったと語っています。

カップリング曲には、「ルルル」と「朝もやけ」が収録されています。「ルルル」も北川悠仁が作詞作曲を担当し、黒電話の呼び鈴をイントロに用いた個性的な楽曲です。曲中では、北川悠仁が実際に電話でやり取りするSEが挿入されており、スタジオの内線電話を使って録音されたというエピソードも残っています。歌詞は、実話に基づいて書かれたもので、女の子のお父さんから「どこの北川だぁ？」と聞かれ、「岡村の北川ですけど…」と答えたという、ユーモラスなエピソードが背景にあります。

「朝もやけ」は、岩沢厚治が作詞、岩沢厚治と寺岡呼人が作曲を担当しています。寺岡呼人はプロデューサーとしてだけでなく、楽曲のクレジットにも名を連ねており、ゆずの作品において寺岡呼人の名がアレンジ以外でクレジットされた初めての作品となりました。この曲は、路上時代を終えた後の2曲目の作品で（1曲目は「始発列車」）、タイトルの「朝もやけ」は、朝靄と朝焼けを合わせた岩沢厚治の造語です。

ミュージックビデオとジャケット撮影

ミュージックビデオには東海バスのK-CJM500型バスが使用されています。また、シングルCDジャケットは、当時江ノ電バス藤沢営業所（鵠沼車庫、現在は湘南営業所）の敷地内で撮影されました。発売前後には、バス車体広告でも積極的に宣伝が行われました。ジャケットに使用されている車両は、131号車（P-U32L・富士重工5E）です。

ライブパフォーマンスとメディア出演

「サヨナラバス」は、音楽番組で歌われる機会は少なかったものの、『月光音楽団』（2006年1月、TBS系）、『僕らの音楽』（2008年4月25日、フジテレビ、いきものがかりとの共演）、そして1999年のNHK連続テレビ小説『やんちゃくれ』の最終週に挿入歌として使用されるなど、限られた場面で披露されました。

ライブアルバム『歌時記 〜サクラサク篇〜』には、「サヨナラバス」、「ルルル」、「朝もやけ」のライブバージョンがすべて収録されています。他のアルバムへの収録も多数あり、ゆずのライブ定番曲として長く愛されています。

カバーとその他

「サヨナラバス」は、香港の歌手、王喜（ウォン・ヘイ）によって広東語でカバーされ、アルバム『喜新唱歌』に収録されました。また、ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』でもカバーされ、2018年9月3日にゲーム内に追加され、翌年にはシングルCDにも収録されました。

「サヨナラバス」は、ゆずの初期の代表曲として、現在でも多くのファンに愛され続けている楽曲です。そのシンプルながらも奥深い歌詞とメロディー、そして制作秘話などは、楽曲の魅力をさらに深めています。

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