サラダ・ドレッシング

サラダ・ドレッシング：東南アジアの自然と都市を繋ぐランドスケープデザイン事務所

2002年設立のサラダ・ドレッシングは、シンガポールを拠点とするランドスケープデザイン事務所です。創設者であるチャン・フアイヤン氏は、マレーシア生まれ。シンガポール国立大学で建築学を修めた後、バリ島の著名な庭園デザイナー、マデ・ウィジャヤ氏のもとで研鑽を積みました。ウィジャヤ氏の作品集のイラストを担当した経験は、チャン氏のキャリアの原点となっています。

熱帯の自然と都市空間の融合

サラダ・ドレッシングのデザインは、東南アジアの豊かな自然、特に熱帯雨林の環境や生物多様性への深い理解に基づいています。チャン氏は、都市における自然の再野生化（リ・ワイルド）を重要な課題と捉え、都市生活の中に自然の美しさを取り込むデザインを数多く手がけています。

多様なプロジェクトと高い評価

これまで、サラダ・ドレッシングは数多くのプロジェクトに携わってきました。シンガポールを始め、マレーシア、インドネシア、中国など、東南アジア各地のリゾートホテル、高級コンドミニアム、商業施設の景観デザインがその代表です。

具体的には、ノボテル・ジャカルタ、アリラ・ホテルズ＆リゾーツ、ラグーナ・リゾーツ、アマン・リゾーツ（東京）、ザ・ミントン、NVレジデンスなどのプロジェクトで、その高いデザインスキルを発揮しています。シンガポール国内では、「P.S.カフェ」や「ホワイトラビット」といったガーデンダイニングの先駆けとなる空間もプロデュース。既存の樹木や熱帯植物を効果的に活用し、都会のオアシスのような空間を創出することに定評があります。

近年は、エコブームの高まりを受け、緑を豊富に取り入れた建築プロジェクトが増加しており、サラダ・ドレッシングの活躍の場はますます広がっています。アマン東京のロビー階にある室内庭園なども、その一例です。また、カリブ海の島やドバイの別荘など、多様な気候風土でのプロジェクトにも挑戦しています。

自然体験を促すユニークな取り組み

サラダ・ドレッシングは、デザイン活動にとどまらず、自然体験を促すユニークな取り組みにも積極的に参加しています。ボルネオ島のジャングルで実施された「ツリートップシネマ」はその代表的な例です。樹上で映画を鑑賞するというこのイベントは、地元住民や観光客にジャングルの魅力を伝える、斬新な試みとなりました。

国際的な活躍

サラダ・ドレッシングは、国際的な舞台でも活躍しています。長崎県で開催されるガーデニングワールドカップには毎年出展し、その高いデザイン力を世界に発信しています。

事務所のユニークな空間

サラダ・ドレッシングの事務所は、シンガポールにある旧シンガポール・ポリテクニーク校跡地に位置しています。建築設計事務所「フォームワークス・アーキテクツ」とスペースを共有し、壁面にはフアイヤン氏による鮮やかなクジャクの絵が描かれています。50年代の風情を残す歴史的な建物の雰囲気と、現代的なデザインが融合した、独特の空間となっています。

まとめ

サラダ・ドレッシングは、東南アジアの豊かな自然と都市環境の調和を追求する、世界的に評価の高いランドスケープデザイン事務所です。チャン・フアイヤン氏の卓越したデザインセンスと、自然への深い愛情が、数々の美しい空間を生み出しています。その活動は、今後も世界中の人々に感動と豊かさをもたらし続けることでしょう。 彼らの活動は、Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2018年5月号にも掲載されています。

もう一度検索