サラ・パレツキー

サラ・パレツキーは、アメリカを代表するミステリー作家の一人です。1947年、アイオワ州エームズに生まれ、カンザス州で育ちました。カンザス大学で政治学を学び、その後シカゴ大学で博士号を取得しています。現在もシカゴを拠点に活動しています。

彼女の代表作であり、世界中に多くのファンを持つのが、女性私立探偵V・I・ウォーショースキーを主人公とするシリーズです。1982年のデビュー作『サマータイム・ブルース』で鮮烈なデビューを飾って以来、数々の作品を発表し続けています。

V・I・ウォーショースキーは、元弁護士という経歴を持つ複雑な女性です。本名はヴィクトリアですが、親しい間柄以外には「V・I」と名乗っています。愛称は「ヴィク」を好みますが、父の古い同僚である警部からは「ヴィッキー」と呼ばれています。

彼女はブラック・ラベルのスコッチを嗜み、調査のためなら住宅への侵入も厭いません。格闘技にも長け、ストリートファイトもこなす一方で、身なりにも気を配るなど、女性らしさと強さを兼ね備えています。オペラを愛し、しばしばその旋律を口ずさむ一面も持ち合わせています。

離婚歴があり、独身。男性との関係も持ちつつ、独立心の強い、気性が激しく、時に猪突猛進な性格です。そんな彼女の生き様は、多くの読者に共感を呼びます。

パレツキー作品の特徴として、スリラー小説の要素が強く見られます。多くの場合、大企業が絡む犯罪を隠蔽するために殺人事件が発生し、その後も連続殺人が起こります。ウォーショースキーは、犯人とクライマックスで対決し、窮地を脱します。

ストーリー展開自体は比較的単純なパターンが多いものの、緻密な人物描写とシカゴの街並みを克明に描いた描写が作品の魅力となっています。スティーブンソン高速道路やシカゴ・カブスの話題など、シカゴの街の息遣いが作品に息づいています。

彼女の作品は、数々の賞を受賞しています。1988年には『ダウンタウン・シスター』で英国推理作家協会賞シルバーダガー賞を、2002年にはCWA賞ダイヤモンド・ダガー賞を、2004年には『ブラック・リスト』でCWA賞ゴールドダガー賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

V・I・ウォーショースキーシリーズは、映画やテレビドラマにもなった人気シリーズです。1991年にはジェフ・カニュー監督、キャスリーン・ターナー主演で映画化され（邦題「私がウォシャウスキー」）、1996年にはNHKで松坂慶子主演、丸山昇一脚本により「女にも七人の敵」の題名でドラマ化されています。

サラ・パレツキーは、現代社会における女性像を鮮やかに描き、複雑な事件を鮮やかに解き明かす、現代を代表するミステリー作家と言えるでしょう。彼女の作品は、スリリングな展開と緻密な描写、そしてV・I・ウォーショースキーという魅力的なキャラクターによって、多くの読者を魅了し続けています。今後も、彼女の活躍から目が離せません。

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