サリュート4号

サリュート4号

サリュート4号は、ソビエト連邦が宇宙開発競争の中で進めたサリュート計画において、1974年12月26日に軌道へ投入された宇宙ステーションです。平和的な宇宙利用を目指すDOSシリーズの4番目の機体として設計され、約2年にわたって地球周回軌道上で運用されました。このステーションは、後の宇宙ステーション開発に向けた重要なデータをもたらすとともに、複数回の有人ミッションを受け入れました。

設計と機能

サリュート宇宙ステーションは、軍事目的のアルマースと平和利用目的のDOSという二つの流れで開発されました。サリュート4号は後者のDOSタイプの改良型であり、先行するサリュート1号の基本的な構造を踏襲しつつも、発電能力の向上に主眼が置かれました。特に、初期のDOSステーションで採用されていた4枚の小型太陽電池パネルは、より効率的な3枚の大型可動式パネルに換装され、これによりステーションへの電力供給能力が大幅に強化されました。

搭載された科学観測装置も多岐にわたりました。太陽の観測を目的とした紫外線望遠鏡やX線望遠鏡に加え、地球大気の状態を把握するための各種センサー、宇宙空間からの地球観測に用いる赤外線望遠鏡、地上撮影用カメラなどが装備されました。また、宇宙空間の放射線環境を調べる宇宙線検出器も搭載されました。

長期宇宙滞在が人体に与える影響を研究するため、宇宙飛行士の健康維持や医学的調査にも力が入れられました。滞在クルーは、着用することで体に適切な負荷を与える特殊なスーツを身につけたり、軌道上での健康状態を維持するためのトレーニング機器を利用したりしました。さらに、ステーションの姿勢や軌道を精密に制御するための新型システムの実証試験も、サリュート4号の重要な任務の一つでした。

運用とミッション

サリュート4号は、1974年12月26日、中央アジアにあるバイコヌール宇宙基地から、信頼性の高いプロトン8K82Kロケットによって宇宙へ打ち上げられました。

軌道投入後、最初の有人ミッションとして、1975年1月10日にソユーズ17号が打ち上げられ、サリュート4号とのドッキングに成功しました。搭乗した2名の宇宙飛行士は、約1ヶ月間にわたりステーションに滞在し、様々な科学実験や観測、技術試験に従事しました。彼らは同年2月10日に、ソユーズ宇宙船のカプセルで無事に地球へ帰還しました。

続くミッションとして計画されたソユーズ18号（通称18A号）は、1975年4月5日に打ち上げられましたが、残念ながらロケットの第2段と第3段の分離が正常に行われず、軌道に乗ることに失敗しました。しかし、搭乗していた2名の宇宙飛行士を乗せたカプセルは緊急脱出システムにより分離され、ソビエト連邦国内に安全に着陸し、乗員の命は守られました。

この失敗を経て、改めてソユーズ18号が1975年5月24日に打ち上げられ、サリュート4号へのドッキングに成功しました。今回のミッションでは、2名の宇宙飛行士が前回の倍にあたる約2ヶ月間ステーションに滞在し、精力的に活動を行いました。彼らは同年7月26日に地上へ帰還しました。

有人ミッションに加え、1975年11月17日には無人のソユーズ20号が打ち上げられ、自動操縦でサリュート4号にドッキングしました。このミッションの主目的は、様々な飛行条件下におけるソユーズ宇宙船の長期運用性能を試験することでした。ソユーズ20号は、約3ヶ月間にわたる試験を終えた後、1976年2月16日に大気圏に再突入し、無人のままソビエト連邦国内に軟着陸しました。

これらのミッションを通じて、サリュート4号は計画された運用期間を超えて活動を続け、ソビエト連邦の有人宇宙活動にとって貴重な経験とデータをもたらしました。最終的に、サリュート4号はその役割を終え、1977年2月2日に大気圏に再突入して燃え尽き、廃棄されました。

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