サンショウモ

サンショウモ（山椒藻）について

サンショウモ（学名：Salvinia natans）は、シダ植物門に属し、浮草型の水草です。根を持たず、水面に葉を浮かべる姿が特徴です。一見するとシダ植物のように見えないかもしれませんが、葉の裏側に胞子のうを形成し、胞子で繁殖します。その名は、葉の形状がサンショウの羽状複葉に似ていることに由来しています。

特徴

サンショウモの茎は通常3～10cmの長さで、まばらに分枝します。葉は三輪生で、二枚の葉は楕円形をしていて水面に浮遊し、一枚の葉は細長く裂けて水中に伸びています。そのため、一見すると根のように見える部分がありますが、根は実際には存在しません。このように、葉の付け根から根が生えているように見えるのです。

秋になると、水中の葉の基部に胞子嚢が形成され、これにより繁殖が行われます。胞子嚢は大きさによって大胞子嚢と小胞子嚢に分かれており、水中葉の基部に雌性、その他には雄性の胞子嚢を持つ傾向があります。浮葉のサイズは長楕円形で、8～14mmの長さ、4～10mmの幅を持ち、短い柄があります。

分布と生育環境

サンショウモは本州から九州の低地の池や水田で見られ、国外ではヨーロッパ、アジア、アフリカにも自生しています。日本では一年草として知られていますが、より温暖な地方では多年草として成長します。特に栄養が豊富な水域で大量に繁茂することがありますが、その個体数には波があるため、注意が必要です。

生活環

この植物は一般的に一年草として生育します。春に発芽した若い植物は、最初は細い葉を持ちますが、成長するにつれて大きくなります。茎は分枝し、切れることで無性生殖が可能です。秋になると水中の葉の下に球形の胞子嚢が形成され、それらは大胞子嚢と小胞子嚢に分かれます。

大胞子嚢内では、八つの大胞子細胞が生産され、そのうち一つだけが成熟します。一方、小胞子嚢内では多数の小胞子が形成されます。サンショウモは冬の間に枯れ、その胞子だけが越冬します。

春になると、胞子は新たに発芽し、浮かび上がるのです。これにより、非常に小さな前葉体が形成されます。この前葉体には造卵器と造精器が作られ、受精が行われることで新たな植物が成長を始めます。

利害と利用

かつて日本では一般的な存在で、特に水田の雑草として駆除対象でした。しかし、除草剤には抵抗力がないようで、今では極めて希少となり、絶滅危惧種に指定される地域もあります。逆に、その独特な姿か美しさから一部では観賞用として栽培されたり、理科教材として利用されることもありました。現在では希少性から他の種、特にオオサンショウモに代用される例も多いです。

近似種と分類

日本にはサンショウモに類似した植物は存在しないものの、帰化種としてオオサンショウモが見られます。サンショウモ属は約10種が世界に存在し、アカウキクサとは別にサンショウモ科に分類されることもあります。オオサンショウモは熱帯アメリカ原産で、サンショウモに似ていますが、形状がやや異なります。

このように、サンショウモは生態系の中でも独特な役割を持つ植物ですが、現在ではその存続が脅かされています。

もう一度検索