サンス・パレイル (戦列艦)

HMS サンス・パレイル（HMS Sans Pareil）

HMS サンス・パレイルは、18世紀末に建造されたイギリス海軍の80門を装備した3等級の戦列艦です。その生涯の始まりは、フランス海軍の戦艦サン・パレイユ（Sans Pareil）としてブレストで進水したことに始まります。進水日は1793年6月8日ですが、フランス海軍に属していたのは短い期間でした。

フランス軍艦としての経歴

サン・パレイユは、グロワニャール設計のトナン級として建造され、少将ジョセフ＝マリー・ニエリの指揮むけて、1794年5月に大西洋へ出航しました。ここで、ニエリの艦隊は北アメリカからトウモロコシを運ぶ輸送船団と接触する計画でした。しかし、運命の個別これがうまくいかず、1794年5月9日にイギリスの艦隊と遭遇してしまいます。サー・トーマス・トラウブリッジの護衛下にあるHMS キャスター（HMS Castor）が敵艦だったのです。ニエリの艦隊はキャスターを攻撃し捕獲しますが、イギリス艦隊もそれに負けじと数日後の5月29日にはHMS キャリスフォート（HMS Carysfort）によって捕らえられました。

ニエリは復路の船団と合流し、フランスへの帰還を試みますが、この時期、ヴィラレーが指揮する艦隊はイギリス艦隊に出会い、戦闘が発生します。「栄光の6月1日」とも呼ばれる激戦の中で、サン・パレイユは後衛に位置し、イギリス軍艦ロイヤル・ジョージと交戦しました。この戦闘でサン・パレイユは重大な損傷を受け、最終的にはイギリス軍艦マジェスティックに捕獲されることとなります。艦艇内には捕虜となったトラウブリッジ艦長を含む50名もの将兵がいたものの、彼らはその後解放されました。

この戦いで、サン・パレイユの乗組員約260名が犠牲となり、負傷者も多く出ました。

イギリス軍艦としての経歴

サン・パレイユはイギリス海軍に編入され、HMS サンス・パレイルという名前で知られるようになります。最初の艦長はヒュー・シーモア卿で、彼の指揮のもと、1795年の「栄光の6月1日」の1周年を迎えることになります。彼はその後、少将へ昇進し、艦の指揮は他の艦長に引き継がれました。サンス・パレイルは再び戦闘に参加し、フランス艦隊との戦いでは多くの犠牲者を出しましたが、彼自身も次第に病に侵されていきます。

サンス・パレイルはその後もフランス沿岸の哨戒任務を続ける中、フランスの旗を掲げて私掠船との接触を試みるなど、巧妙な戦術を用いることもありました。1801年には艦の指揮がペンローズ艦長に引き継がれ、最終的には大修理を受け、その結果監獄船としての任務を与えられることになりました。1807年にはフランス捕虜の収容に従事し、1810年に朽ち果てるまでの32年間、役目を果たしました。

サンス・パレイルは1842年に解体され、長い歴史の幕を閉じました。

もう一度検索