サンダウン級機雷掃討艇

サンダウン級機雷掃討艇

サンダウン級機雷掃討艇（Sandown-class minehunter）は、イギリス海軍が運用している特別な機雷掃討艇の艦級です。計画名はSRMH（Single Role Minehunter）であり、専用の機雷処理機構と最新技術を備えています。建造費用は4600万ドルで、最初の艦は1985年に発注されました。

来歴

イギリス海軍は1979年にハント級掃海艇の運用を開始しました。しかし、ハント級は設計上の問題から建造費が高騰し、当初の24隻から最終的には13隻しか建造されませんでした。このため、機雷掃討に特化した新たな艦型が必要とされ、サンダウン級が開発されました。サンダウン級は、深い海域での機雷作業を優先する鋼製艇と、掃海能力を持たないFRP製掃討艇の組み合わせによってその役割を果たしています。

設計

サンダウン級の設計は、1983年にヴォスパー・ソーニクロフト社によって発表されました。艇型は中央船楼型を採用し、風に影響されにくい設計がされている点が特徴です。同級はガラス繊維強化プラスチック（GFRP）の使用が採用されており、コストの低減と耐久性の向上を実現しています。主機関にはパクスマン・ベンチュラディーゼルエンジンを二基搭載し、通常時は15ノット、静音運転時は7ノットの速度が可能です。特に、機雷掃討時には定点保持能力が求められるため、SPCS（Ship Positioning Control System）が装備されています。

装備

サンダウン級には最新の機雷探知機や処分具が搭載されています。特に、NAUTIS-Mと呼ばれる新しい情報処理装置は、対衝撃性や非磁性などの要求に準じた性能を持っています。探知機にはプレッシー社の2093型を採用し、最大探知距離は1,200メートルに達します。機雷処分具としては、RCMDS Mk.2を装備し、改良された性能が求められています。

近代化改修

2016年には、エストニア国防省がタレスUKと契約を結び、サンダウン級の能力向上改修を行いました。この改修では新型の情報処理装置や機雷探知機、航法システムの多様な改良が含まれています。エストニア海軍の旗艦「アドミラル・コーワン」は、2018年にアップグレードが完了しました。

同型艦

サンダウン級機雷掃討艇は1987年から1993年にかけて5隻の建造が行われ、その後は追加の艦が建造されましたが、総建造数は計画の20隻から12隻に減少しました。さらに、サウジアラビア向けの同型艇やスペイン向けの派生型も製造されています。2023年夏には、イギリス海軍から退役した2隻がウクライナ海軍に引き渡される予定です。

サンダウン級は、イギリス海軍における重要な掃海能力を持つ艦艇として、今後もその役割を果たしていくと期待されています。

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