サンチョ4世 (ナバラ王)

サンチョ・ガルセス4世：激動の時代を生きたナバラ王

サンチョ・ガルセス4世（1039年頃 - 1076年）は、11世紀のナバラ王国の国王です。父ガルシア・サンチェス3世の跡を継ぎ王位に就きましたが、その治世は決して平穏なものではありませんでした。カスティーリャとの間で繰り広げられた戦争、そして兄弟による暗殺という悲劇的な結末は、彼の人生を大きく特徴づけています。

若き国王の即位と初期の治世

1054年、父ガルシア・サンチェス3世がアタプエルカの戦いで戦死すると、当時14歳であったサンチョ・ガルセス4世が王位を継承します。幼い国王を支えたのは、母であるエステファニアでした。彼女は摂政として、亡き夫の方針を忠実に守り、サンタ・マリア・ラ・レアル修道院の支援を続けました。

しかし、サンチョ・ガルセス4世の即位後、王国の西部ではレオン王国に味方する領主が現れ始めます。そのような状況下でも、ビスケー領主イニゴ・ロペスとパンコルボ領主サンチョ・フォルトゥネスは、サンチョ・ガルセス4世への忠誠を貫きました。1062年には、レオン王フェルナンド1世との間で国境を明確にする条約が締結され、サンチョ・ガルセス4世の支配権がリオハ、アラバ、ビスケーにおいて認められました。

また、サンチョ・ガルセス4世は、叔父であるアラゴン王ラミロ1世からの支援を受け、その友情に感謝の意を示すため、レルダ、ウンドゥエス、サングエサ城の所有権を与えました。さらに、サラゴサ王アーマド・アル＝ムクタディルに圧力をかけ、貢納金の支払いを要求するなど、王としての地位を確立しようと努めました。

三サンチョ戦争と王国の危機

1065年以降、サンチョ・ガルセス4世は、カスティーリャ王サンチョ2世との対立を深めます。両者の対立は、いわゆる「三サンチョ戦争」（1067年 - 1068年）へと発展しました。この戦争は、サンチョ・ガルセス4世の父ガルシア・サンチェス3世が保持していたラ・ブレバやアルタ・リオハなどの辺境領を巡る争いでした。カスティーリャ王サンチョ2世は、これらの領土を奪還しようと侵攻を開始。サンチョ・ガルセス4世は、アラゴン王サンチョ1世に支援を求めましたが、ナバラ・アラゴン連合軍は、カスティーリャ軍に敗北を喫し、ラ・ブレバ、アルタ・リオハ、アラバを奪われてしまいました。

暗殺と王国の分割

1076年6月4日、サンチョ・ガルセス4世は、ペニャレンにおいて、弟ラモン・ガルセスと妹エルメシンダによる陰謀によって暗殺されます。狩猟中に崖から突き落とされたという悲劇的な最期でした。サンチョ・ガルセス4世の暗殺後、ナバラ王国は侵略され、アラゴン王サンチョ1世とカスティーリャ王アルフォンソ6世によって分割されることになります。アルフォンソ6世はラ・リオハを占領し、ナバラ王位を宣言しました。

結婚と子女

サンチョ・ガルセス4世は、1068年にフランス出身のプラセンシアと結婚し、一人の息子をもうけました。しかし、この息子はアラゴン王サンチョ1世によって王位継承から外されてしまいます。また、愛妾ヒメナとの間には、二人の庶子がいました。

サンチョ・ガルセス4世の治世は、戦争と陰謀に彩られた激動の時代でした。彼の死後、王国は分割され、ナバラの歴史は新たな局面を迎えることになります。

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