サンテ刑務所

サンテ刑務所の歴史と影響

サンテ刑務所（Prison de la Santé）は、フランス・パリの14区に位置しており、カルチェ・ラタンの南に面しています。この刑務所は、1865年に建設が始まり、建築家エミール・ヴォードルメールがデザインを手掛けました。建設当初は「衛生管理の鑑」と評されていたものの、時が経つにつれて劣化が進みました。

1992年の時点で、サンテ刑務所には1800人もの受刑者が収容されていましたが、その環境は非常に厳しいものでした。麻薬の蔓延、刑務所内での強姦、自殺、暴力などが横行し、受刑者たちにとって過酷な場所となっていました。この状況を暴露したのが、サンテ刑務所で主任医師を務めたヴェロニック・ヴァスールです。彼女は1992年に当刑務所で当直医師となり、その後2000年まで主任として働きました。彼女の著書『パリ・サンテ刑務所 主任女医7年間の記録』（青木広親訳、集英社）は、刑務所内の実情を明らかにし、大きな社会問題として取り上げられました。

サンテ刑務所は、厳重な警戒が必要とされる一方で、1947年と1978年には脱獄事件が発生しました。これらの事件は、警備体制の限界を示すものであり、時折メディアや社会の関心を集める要因となってきました。

この刑務所には多くの著名人が収容されており、その中には反体制的な活動家や犯罪者が含まれています。例えば、カルロス・ザ・ジャッカル、ギョーム・アポリネール、ジョルジュ・ベルナノス、ジャン・ジュネ、マヌエル・ノリエガ、マルセル・プショー、大杉栄、ジャン＝ピエール・レヴィなど、様々な背景を持つ人物がここで過ごしました。最近では、フランスの元大統領ニコラ・サルコジもこの刑務所に関与しています。

サンテ刑務所は、文化にも大きな影響を与えており、さまざまな作品に登場しています。例えば、1960年の映画『穴』や怪盗ルパンシリーズ、ショスタコーヴィチの交響曲第14番、さらに漫画『ゴルゴ13』の増刊号『36000秒分の1秒』などがあり、これらの作品で刑務所で服役する囚人たちが描かれています。また、ゲーム『サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜』にも登場します。

サンテ刑務所は単なる収容施設に留まらず、社会や文化、歴史に深い関わりを持つ場所として位置づけられています。今後もその動向が注目されることでしょう。

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