サントリー樹氷

サントリー樹氷の魅力と歴史

サントリー樹氷（じゅひょう）は、サントリーが製造し、販売する甲類焼酎の一つで、特に1980年代に一大ムーブメントを巻き起こしました。1978年の発売当初から現在まで、多くの人々に愛され続けている樹氷は、その特異なデザインや独特の味わいによって、焼酎市場に新たな風をもたらしました。

歴史の背景

サントリー樹氷は、1977年に宝酒造がヒットさせた「純」という新世代焼酎の登場に続いて、1978年に市場に投入されました。当初、サントリーは焼酎の免許を取得していなかったため、樹氷はスピリッツ規格として販売され、「マイルド・ウォッカ」という表記がされていましたが、1993年に焼酎としての販売が可能になりました。

樹氷のパッケージはスクエアボトルで、そのデザインには白樺の模様が施されており、一目で樹氷と分かる特徴となっています。テレビCMでは、当時の新世代コピーライター、仲畑貴志が手掛け、様々なイメージキャラクターが起用されました。最初は漫画家のバロン吉元の「柔侠伝」のヒロイン、茜が登場しましたが、その後女優の田中裕子が登場し、彼女の不思議な魅力がロゴとともに強く印象に残りました。

特に、1982年のCM「タコなのよ、タコ。タコが言うのよ。」は大ヒットし、そのフレーズは当時の流行語にもなりました。後にはこのCMのキャラクターがイラスト化され、「サントリータコハイ」という製品が発売されるまでになりました。

アルコール度数の変遷

発売当初の樹氷は、アルコール度数が35%のみでしたが、1984年には酎ハイブームの影響で20%の製品も登場しました。この調整は、過度の飲酒を防ぐためのものでした。その後、1993年には焼酎免許を取得し、アルコール度数が25%に再調整され、再び市場に投入されました。また、1985年にはリキュール扱いの10%および15%の『ソフト樹氷』も発売されたものの、需要に合わず短期間で製造が中止されました。

CMキャンペーンとその影響

樹氷のCMは、仲畑貴志が一貫して担当し、その楽曲も話題となりました。1978年の発売当初にはチェリッシュの『マイルド・ウォッカ』がテーマソングとして使用され、さらには宇崎竜童によって作曲された楽曲も人気を博しました。1990年代にはSIONの楽曲がCMで使用され、視聴者に強い印象を与えました。これらのCM企画における成功は、サントリーの1980年代の躍進に大きく寄与しました。

現在の位置づけと展望

1980年代後半、酎ハイブームは落ち着きを見せましたが、樹氷は現在でも羨望を集める存在です。飲食店や家庭での楽しみ方として定着し、相変わらず売り上げも健闘しています。サントリーは、その後の業務戦略として、樹氷を中心に規模の小さい酒造会社の製品をディストリビュートする方針を採るなど、常に進化を続けています。

樹氷は単なる焼酎にとどまらず、長い歴史の中で文化や流行を反映してきた日本の飲酒文化の象徴とも言える製品です。今後も樹氷は多くの人々に愛される存在であり続けることでしょう。

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