サント・ダイミ

サント・ダイミの紹介

サント・ダイミ（Santo Daime）は、1930年代にライムンド・イリネウ・セーハ（Raimundo Irineu Serra）によって創設されたブラジルの混交宗派です。アマゾンのアクレ州で生まれたこの教えは、民衆カトリシズム、アフロ・ブラジリアンの宗教伝統、さらには現地のシャーマニズムを融合させた独特なものであり、信者にとっては心に「調和、愛、真実、正義」を刻むことが目指されています。サント・ダイミ教会では、これらの理念を基に、より健全な生き方を促進しようとしています。

歴史

この宗派は「メストリ・イリネウの信条」とも称され、1920年代から始まった宗教的な実践に由来します。ライムンド・イリネウ・セーハは1892年にアフリカ系の家庭に生まれ、若い頃からアマゾンに移住し、ゴム採取者として働いていました。彼は地元の民間医療従事者からアヤワスカの知識を受け継ぎ、最初にアヤワスカを体験したのは、ブラジル、ボリビア、ペルーの国境沿いの地域でした。この体験を通じて、彼は霊的な儀式にこの飲み物を取り入れるようになり、多くの人々が療法を求めて彼の元を訪れるようになりました。

当初、この教えは文書化されておらず、詩的な表現や隠喩を通じて伝えられました。それにより、信者たちは愛や調和、強さといった価値を歌いながら学びました。次第に、アマゾニアの枠を超えて広がり、特に中産階級の人々に受け入れられました。2005年時点では、サント・ダイミは23か国に教会を持つに至ります。

分派

1971年にイリネウが亡くなると、サント・ダイミのコミュニティはさまざまな方向に分かれるようになります。その中でも特に重要な分派が、パドリーニョ・セバスチャンが1974年に創設したリオ・ブランコの光の総合センターです。この分裂の背景には、大麻の使用に関する意見の相違もあったとされています。セバスチャンの支持者たちは、これを植物の癒しの師として扱い儀式に用いることがあったものの、後にコミュニティ内で正式に禁止されることになります。

アヤワスカの役割

アヤワスカは、幻覚剤であり、DMTを含むサイコトリア・ヴィリディスの葉と、アルカロイドを含むハルマラ・アルカロイドの樹皮を煮込んで作られます。サント・ダイミではこの飲み物を「ダイミ」と呼び、神への感謝を込めて聖歌を歌いながら作られます。アヤワスカは、嗜好目的ではなく、宗教的儀礼や精神的探求の一環として使用されます。信者たちは、適切に使うことで心身の健康を促進できると理解しており、無知な使用は避けるべきであるという認識があります。

法律と国際的状況

アヤワスカの宗教的使用について、ブラジルでは連邦薬物審議会が支持を表明しています。1987年からはコミュニティにおける調和への影響が研究され、2010年には宗教儀礼の一環として合法化されました。アメリカでは、最高裁判所の判断によって、サント・ダイミの宗教的な使用が合法とされるなど、国際的に認められています。

一方、欧州ではオランダやイタリアでの裁判が相次ぎ、アヤワスカの使用が法的に認められるようになっています。これにより、世界各地でサント・ダイミの行事が行われるようになり、文化交流が進んでいます。

学術研究

アヤワスカの効能については多くの研究が実施され、精神的健康への悪影響は見られないとの結果も得られています。においては、宗教的実践が心の健康に寄与することが示傍ら、参加者が精神的にギャップを埋める手助けになっているとの研究結果もあります。

サント・ダイミの理念や儀式は、現代社会においても多くの信者に影響を与え続けており、その文化的、宗教的な重要性は否定できません。

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