サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院

サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院

サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院（フランス語：Abbaye Sainte-Geneviève de Paris）は、かつてフランスのパリに存在したカトリック教会の修道院である。この修道院は、その歴史的背景と文化的意義から、特にフランス革命の影響を受けた場所として知られている。現在のアンリ4世高等学校の校舎の一部がこの修道院の名残である。

歴史的背景

サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院は、502年にフランスの王クローヴィス1世と王妃クロティルドによって建設された。この場所は、当時すでに墓地が存在していたmons Lucotitiusと呼ばれる地域に位置しており、最初は聖使徒修道院という名称で知られていた。また、聖ジェノフェーヴァ（聖ジュヌヴィエーヴ）もこの地で祈りを捧げていたと伝えられ、その際に通った道は、今日のラ・モンターニュ＝サント＝ジュヌヴィエーヴ通りとして名を残している。512年に聖ジュヌヴィエーヴはこの修道院に埋葬され、後に王妃クロティルドも加えられた。

修道院は、857年にヴァイキングの襲撃によって荒廃したが、12世紀初頭にはクリュニー修道院の聖職者トゥルネーのエティエンヌの指導の下で再建され、その後も何度か改修が行われた。特に577年にはルーアン司教プレテクスタの主催で教会会議が開催されるなど、宗教的な重要性を持っていた。

聖ジュヌヴィエーヴの聖遺物

修道院は大きな災害時にも安定した信仰を保ち続け、聖ジュヌヴィエーヴの聖遺物箱が礼拝行進で運ばれることがあった。この聖遺物は彫刻家ジェルマン・ピロンによって製作されたもので、1242年には銀と金で装飾された美しい箱だった。1667年6月24日には、哲学者デカルトの銅製棺が大理石の記念碑の下に安置され、修道院の重要性をさらに高めていた。

17世紀以降、サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院はフランスのみならずヨーロッパ全体に多大な影響を及ぼすようになった。特に、聖アウグスチノ会の改革を進めたフランソワ・ド・ラ・ロシュフコー枢機卿のもとで、修道院の改革が行われ、多くの信者を引き寄せた。

フランス革命による解体

修道院はフランス革命により大きな打撃を受け、1793年には修道士たちが追放され、聖遺物が処理された。すべての修道院にも影響を及ぼした革命の波は、この重要な場の破壊をも引き起こした。特に教会とその周辺の建物は次々と取り壊され、1807年にはクロヴィス通りが開通するために古い建物が壊されてしまった。

現在、かつての修道院に関連する構造物はほとんど残っていないが、唯一残存しているクロヴィス塔が、アンリ4世高等学校の敷地内に存在する。また、この高校の校舎は、13世紀から17世紀にかけて建てられた修道院の建物群を含んでいる。

聖遺物の行方

デカルトの遺体は1792年に他の地へ移葬され、残された聖ジュヌヴィエーヴの唯一の聖遺物である指の骨は、現在パリのサン＝テティエンヌ＝デュ＝モン教会に安置されている。また、サント＝ジュヌヴィエーヴ・デ・グランド・カリエール教会においても彼女の名は記録されている。

このように、サント＝ジュヌヴィエーヴ修道院は、フランスの宗教史、文化史における重要な役割を果たしてきた場所であり、その歴史は現在に至るまで影響を与え続けている。

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