サン・ビセンテ岬の月光の海戦

サン・ビセンテ岬の月光の海戦

1780年1月16日、歴史に名を刻んだサン・ビセンテ岬の月光の海戦が、アメリカ独立戦争の一環として繰り広げられました。この戦闘は、ポルトガルのサン・ビセンテ岬の沖で、イギリス艦隊を指揮したジョージ・ロドニー提督と、スペイン艦隊を指揮したドン・フアン・デ・ランガラ提督との間で行われました。特に月明かりの下での夜間戦闘だったことから、「月光の海戦」と呼ばれるようになったのです。

発端

この戦闘の発端は、ロドニー提督の艦隊がスペインによるジブラルタルの封鎖を突破し、救援に向かう途中でデ・ランガラ指揮のスペイン艦隊を発見したことにあります。当初、スペイン艦隊は戦列艦11隻で構成されていましたが、悪天候により2日前に2隻が切り離され、わずか9隻となっていました。

戦闘の展開

ロドニーは自身の艦隊で18隻の戦列艦を編成し、スペイン艦隊に迫りました。一方、デ・ランガラはイギリス艦隊の圧倒的な戦力を認識すると、艦隊を南方に向けて逃がす命令を下します。午後2時、ロドニーは全艦艇に追撃を命じ、全速力で追いかけました。当時イギリス艦は最新の技術で速度を上げることができており、そのためスペイン艦隊に追いつくことができました。

午後4時、イギリス側の艦船による攻撃が始まりました。特に「ビヤンフザン」が攻撃に移ろうとした瞬間、スペイン艦「サント・ドミンゴ」が爆発し、乗組員全員が犠牲となる事態に。戦闘は日没後も続き、闇の中での交戦が続きました。午前2時には、スペイン艦隊の先頭艦が降伏し、全ての砲火が収束しました。逃げた艦艇はあったものの、6隻が捕獲され、ロドニー艦隊は勝利を収めました。

この海戦でのイギリス側の犠牲者は、戦死32名、負傷102名に上りました。

戦後の影響

戦闘後、捕獲した艦のうちの2隻は、スペインの艦長の助けを借りる必要があったために、再度スペイン側に奪還される結果となりました。「フェニックス」は「ジブラルタル」と改名された後、イギリス海軍に編入されることになります。

この戦闘は、イギリスがスペインに対して決定的な勝利を収めたことから、今でも歴史の中で語り継がれています。夜間の海戦という稀有な状況での展開は、海戦の運命を大きく変えるきっかけとなりました。月明かりの中で繰り広げられたこの激闘は、艦隊戦術や海軍史において重要な意義を持つ出来事となったのです。

その後の海軍戦略や戦術にも影響を与え、アメリカ独立戦争の流れを変える一因となったことは間違いありません。

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