サン・ビセンテ岬の海戦

サン・ビセンテ岬の海戦

1797年2月14日、サン・ビセンテ岬の沖合で行われたサン・ビセンテ岬の海戦は、イギリス艦隊がスペイン艦隊に対して著しい勝利を収めた重要な戦闘です。この戦いはジョン・ジャーヴィス提督が指揮するイギリス艦隊とホセ・デ・コルドバ提督主導のスペイン艦隊との間で行われ、結果的にはイギリスの海上優位性を確立することに寄与しました。

背景

この海戦の前提として、1796年10月にスペインがイギリス及びポルトガルに対して宣戦布告を行ったことがありました。その結果、イギリスは地中海における位置を危うくし、スペイン艦隊に対抗するために撤退を余儀なくされました。1797年初頭には、27隻のスペイン戦列艦が大西洋岸のカディスへ向かう途中、悪天候に見舞われ、イギリス艦隊はこれを捕捉するために動き出しました。

戦闘の開始

戦闘は14日の早朝に始まりました。霧が立ち込める中、ジャーヴィス提督はスペイン艦隊の情報を得て、決戦に向けての準備を整えます。ジャーヴィス艦隊は早朝に戦闘の開始を決断し、敵艦隊との距離が縮まる中、戦いに臨むこととなりました。

ジャーヴィスは双方の艦隊の戦力差に気づいていなかったものの、イギリス艦隊は2列に陣を整え、スペイン艦隊の動きに応じて攻撃を仕掛けました。午前11時30分、海戦が正式に始まり、イギリス艦隊は敵艦隊の間を巧みに通過し、双方の砲火を最小限に抑えつつ、自艦の砲撃を発射しました。

戦闘の展開

午前11時30分頃、イギリス艦隊は優位な立場に立ち、迅速に攻撃を仕掛け始めます。ジャーヴィスが指揮するイギリス艦隊は、かつての海戦の教訓を活かし、持ち味である規律と連携を高めていました。一方、スペイン艦隊は訓練された水兵が少なく、臨機応変な対応が難しい状況にありました。

戦いは午前の内に白熱し、イギリス艦隊の「カローデン」が先陣を切り、敵艦を打撃しました。午前中の戦闘でスペイン艦は多くの損害を被り、戦闘能力を大きく失った状態になりました。午後になると、イギリス艦隊は連携を強化し、攻撃の手を緩めることなく、次々とスペイン艦を捕獲していきました。

戦闘の終息

午後3時までには、ジャーヴィス艦隊がスピーディかつ効果的にスペイン艦隊を撃破し、戦況はイギリスに有利に進展しました。午後4時時点で、スペイン艦隊の指揮官コルドバは、戦闘不能の艦を引き連れて退却せざるを得なかったのです。戦闘終了後、ネルソンは捕獲した艦に残り、他のイギリス艦隊と連携しながら勝利を祝いました。

戦後の影響と評価

この戦いの結果、イギリス艦隊は73名の死者、227名の重傷者、約100名の軽傷者を出し、対するスペイン艦隊は死傷者が1,000名近くに達したと言われています。勝利を収めたジャーヴィスはセント・ヴィンセント伯爵に叙任され、ネルソンもバス勲爵士に叙されました。

この戦闘がイギリス海軍に与えた影響は計り知れません。勝利によってスペイン艦隊は2年間も港に留まることを余儀なくされ、イギリスにおける海上支配の強化が図られました。また、ジャーヴィスはスペイン艦隊の封鎖を実行し、後にネルソンが率いる艦隊を再編成する基盤となったのです。

サン・ビセンテ岬の海戦は、イギリス海軍における歴史的な勝利として記憶され、海軍戦術に大きな影響を与えました。

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