サン・プリンセス

サン・プリンセス：世界を巡る豪華客船の軌跡

1995年、イタリアのフィンカンティエリ社で建造されたサン・プリンセスは、プリンセス・クルーズが運航する豪華客船です。当時、世界最大の客船として注目を集め、その大きさは客船史に残る規模を誇りました。3億ドルという巨額の建造費が投じられ、975室もの客室を備え、約7割がバルコニー付きの海側客室という豪華な造りです。

華々しいデビューと世界各地への航路

フロリダ州ポート・エバーグレーズ港での命名式を経て、サン・プリンセスはカリブ海クルーズへ出発しました。その後、季節によって航路を変え、夏期にはバンクーバーからアラスカへのクルーズ、それ以外の時期にはカリブ海クルーズを運航しました。2007年からはオーストラリアを拠点に航海を行い、2008年には日本への初寄港を果たしました。

改装と進化を続ける船

サン・プリンセスは時代に合わせて進化を遂げました。2013年には大規模な改装が行われ、アトリウムにカフェが設置され、寿司レストランが常設化、ステーキハウスやスパもリニューアルされました。さらに2018年には、船首に「シーウィッチ」の意匠が施され、プレミアム客室やユースセンターが新設されるなど、快適性と魅力が向上しました。

日本における影響と新たな航海

2013年からは日本発着クルーズに本格的に投入され、国内クルーズ市場に大きな衝撃を与えました。低価格ながら高品質なクルーズを提供したことで、「黒船」とも呼ばれるほど注目を集め、国内クルーズ会社に影響を与えました。2014年には、姉妹船のダイヤモンド・プリンセスと共に多くの日本発着クルーズを実施しましたが、2015年からはオーストラリアへの配船となり、日本からの撤退となりました。

しかし、サン・プリンセスの活躍は止まりません。2019年には、日本の旅行会社JTBクルーズが全船チャーターし、世界一周クルーズを実施しました。これは、日本の旅行会社がプレミアム級客船をチャーターしての世界一周クルーズとしては初であり、プリンセス・クルーズにとってもアジア発着の世界一周クルーズとしては初の試みでした。さらに、2021年にはピースボートクルーズを企画・実施するジャパングレイスがチャーターし、「パシフィック・ワールド」として世界一周クルーズに就航すると発表されました。

姉妹船との歩み

サン・プリンセスには、ドーン・プリンセス、シー・プリンセス、オーシャン・プリンセスの3隻の姉妹船が存在します。これらの船もそれぞれ異なるクルーズラインで活躍し、世界中の海を航海しています。

サン・プリンセスの未来

2020年に売却されたサン・プリンセスですが、その豪華さや快適さ、そして世界各地を航海してきた歴史は、クルーズ史に大きな足跡を残しました。今後も、世界中の海を舞台に新たな航海を続けることでしょう。 様々な改装を経て、常に進化を続け、人々を魅了し続けるサン・プリンセスの今後の活躍に期待しましょう。

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