サーキット・オブ・ジ・アメリカズ

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ

サーキット・オブ・ジ・アメリカズ（COTA）は、テキサス州オースティン近郊に位置するモータースポーツ専用のサーキットで、全長約5.5キロメートル、20のコーナーを持つ設計が特徴です。アメリカ国内のレーシングコースの中で唯一「サーキット」の名を名乗ることができ、国際的なレースイベントに対応しています。

歴史

COTAの計画は2010年の半ばにスタートしました。アメリカでのF1開催を目的に設計され、同年末に着工されました。「サーキット・オブ・ジ・アメリカズ」という名称が決まったのは2011年4月のことです。しかし、建設中にプロモーターとサーキットの所有者との間で契約上のトラブルが発生し、一時工事が中断される事態に陥りました。この影響でF1開催が危ぶまれていましたが、2012年9月には完成し、FIAから「グレード1」承認を受けることができました。その後、同年10月にオープニングセレモニーが行われ、11月には初めてのF1アメリカグランプリが開催されました。

設計と特徴

サーキットの設計は、著名なサーキットデザイナーであるヘルマン・ティルケが手掛けました。これまで手がけたサーキットには、セパン、バーレーン、上海、イスタンブール、ヤスマリーナなどがあります。COTAのコースは反時計回りに設計されていて、コーナーは多彩な特徴を持っています。特に、ターン2・3はブラジルのインテルラゴスサーキットのエス・ド・セナを模しており、ターン4から6はシルバーストンのマゴッツとベケッツを意識したデザインです。また、ターン12から14はホッケンハイムのスタジアムセクションを参考にしており、ターン16から18はイスタンブールの特長的なターン8に似ています。

最大高低差は41メートルで、これはF1サーキットの中でもスパや鈴鹿に次ぐ高低差を誇ります。収容観客数は常設席と仮設席を合計しておおよそ12万人で、非常に多くのファンを受け入れる能力を持っています。このような大規模な観客動員が可能であるため、多くの国際レースが開催されています。

レース開催と課題

2012年よりF1アメリカグランプリに始まり、2013年にはFIA世界耐久選手権（WEC）やMotoGPが、2021年にはNASCARカップ・シリーズが行われています。さらに、2019年にはインディカーシリーズも開催されました。

COTAはF1を前提に設計されたため、ヨーロッパ式のピットレイアウトが採用されていますが、実際には幅広いピットエリアがあり、特にインディカー開催時にはアメリカ式の臨時ピットウォールが設置されました。コースの最後のターン19については、ランオフエリアが広く取り入れられていますが、インディカー開催時にはトラックリミットが適用されず、多くのドライバーがコース外を積極的に使って走行しました。

しかし、COTAにおいては路面状態に関する問題がたびたび指摘されています。特に凸凹となっているバンプが懸念されており、2019年にはこれを解消するために大規模な再舗装が行われましたが、2021年のMotoGP開催時にはライダーたちは再び路面の安全性について不安を訴え、競技中止を求める声が上がるなどしています。

COTAの今後の発展と安全性の確保が求められています。

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