ザウレの戦い

ザウレの戦い：リヴォニア帯剣騎士団の終焉とバルトの団結

ザウレの戦いは、1236年9月22日にリヴォニア帯剣騎士団と異教徒のジェマイティヤ人との間で繰り広げられた戦いです。この戦いは、騎士団にとって壊滅的な敗北となり、バルト地域の勢力図を大きく塗り替える契機となりました。

背景

1202年、リガにおいてバルト地方の征服とバルト人のキリスト教化を目的として帯剣騎士団が設立されました。しかし、1230年代に入ると、フォルクヴィン率いる騎士団は財政難、人員不足、そして名声の低下に苦しんでいました。教皇グレゴリウス9世はリトアニアへの十字軍を提唱し、フォルクヴィンはジェマイティヤへの侵攻を計画します。その目的は、バルト海沿岸を制圧し、ドイツ騎士団が支配するプロイセンとの陸路での接続を確立することでした。

戦闘の経過

1236年秋、ホルシュタインからの十字軍参加者を得て、フォルクヴィンはプスコフ共和国軍、リーヴ人、ラトガレ人、エストニア人を含む大軍を召集し、ジェマイティヤへ侵攻します。村々を略奪しながら進軍する騎士団に対し、ジェマイティヤ人は抵抗の準備をします。騎士団が帰路についた際、渡河中にジェマイティヤの大軍と遭遇。ホルシュタイン兵は下馬戦闘を拒否し、騎士団は野営を余儀なくされます。翌朝、ジェマイティヤ公ヴィキンタス率いる本隊が騎士団の野営地を襲撃。重装騎兵はリトアニア軽騎兵の投槍に苦戦し、沼地という地形も軽装備の異教徒軍に有利に働きました。フォルクヴィンをはじめ多くの騎士が戦死し、騎士団軍は混乱に陥り、撤退を余儀なくされました。

戦場の特定

戦闘が行われた正確な場所は特定されていませんが、リヴォニア年代記には「terram Sauleorum」で行われたと記録されています。一般的には、リトアニアのシャウレイまたはラトビアのVecsaule村が候補地として挙げられています。近年では、リトアニアのヨニシュキスにあるJauniūnai村が有力視され、記念碑も建設されました。また、Pamūšis村も古戦場であると主張しています。「ザウレ」という言葉は、ラトビア語とリトアニア語で「太陽」を意味します。

戦いの影響

ザウレの戦いは、リヴォニア帯剣騎士団にとって壊滅的な打撃となりました。団長フォルクヴィンを含む多数の騎士が戦死し、騎士団は再建が困難なほどの損害を受けました。この敗北は、クール人、ゼムガレ人、セロニア人、サーレマー人といった、騎士団に征服されていた部族の反乱を引き起こし、騎士団が30年かけて築き上げたダウガヴァ川左岸の支配も崩壊しました。リヴォニア帯剣騎士団は、翌1237年にドイツ騎士団に吸収されることになります。

バルトの団結

ザウレの戦いは、バルト地域における異教徒の抵抗の象徴となり、その勝利はバルト人の団結を促しました。2000年、リトアニアとラトビアの議会は、この戦いを記念して9月22日を「バルト団結の日」と定めました。

ザウレの戦いは、単なる軍事的な衝突にとどまらず、バルト地域の歴史における重要な転換点となりました。この戦いを通じて、バルト人は自らの文化と独立を守り抜く意志を示し、その後の歴史に大きな影響を与えたのです。

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