ザガット・サーベイ

ザガットサーベイ：一般の人々の声から生まれたレストラン評価ガイド

ザガットサーベイは、1979年にニューヨークで生まれたレストラン評価システムです。弁護士だったティム・ザガット氏とニーナ・ザガット氏夫妻が、専門家だけの評価に疑問を感じ、一般の人々の意見を統計的に分析するという画期的な手法でガイドブックを作成しました。当初はニューヨークのレストランのみを対象としていましたが、現在では世界70都市以上に広がり、レストランだけでなく、ホテルや航空会社、映画など、多様な分野を網羅しています。

客観性を重視した独自の評価システム

ザガットサーベイの最大の特徴は、その客観性です。ヨーロッパの伝統的な評価ガイドのように、特定の専門家による主観的な評価ではなく、一般の利用者が「料理」「内装」「サービス」の3項目をそれぞれ30点満点で評価します。これらの評価に加え、ディナーと飲み物1杯分の平均価格、そしてアンケート回答の一部も掲載することで、利用者は多角的な視点からレストランを選ぶことができます。

インターネットの普及に伴い、ザガットサーベイの調査参加者数は増加の一途を辿り、世界で約25万人、日本では約5000人が調査に参加しています。東京版の参加者は、男女比がほぼ半々で、30～40代が中心となっています。参加者には謝礼として、調査に参加した書籍が無料で贈呈されます。米国では高い認知度を誇り、「ザガットサーベイに掲載される＝高い評価を得た」という認識が定着しており、多くのレストランがステッカーを掲示しています。

多様な展開とビジネスモデル

ザガットサーベイのガイドブックは、一般書店で販売される「書店流通版」と、企業のノベルティとして利用される「法人版」の2種類があります。特に法人版は外資系企業を中心に需要が高く、テレビ局などマスメディア向けのカスタム版や、コレクター向けのオリジナル版なども存在します。

日本版は、株式会社CHINTAIが1999年から発行権を取得し、東京版と京阪神版を皮切りに、長野版や京都版なども発行しました。当初は発刊が不定期でしたが、2005年に新編集長の就任を機に、安定した発行体制が確立されました。書店での販売キャンペーンや、企業向けのカスタマイズ版販売など、積極的な販売戦略が奏功しました。長野版では、地方自治体と連携し、観光ガイドとしても活用されるなど、地域経済への貢献も果たしています。また、日本政府観光局と協力し、英語版の観光ガイドを制作するなど、国際的な情報発信にも力を入れていました。

Googleによる買収とその後

2011年に、ザガットサーベイはGoogle社に買収されました。Googleは、ザガットサーベイのデジタルデータの活用を計画していましたが、日本版は『2013 東京のレストラン』を最後に発刊契約が終了しました。その後、ZAGATは別の米国系IT企業に引き継がれ、現在も運営されています。

ミシュランガイドとの比較

2007年にフランスのミシュランガイドが日本に上陸したことで、ザガットサーベイとミシュランガイドの比較が話題となりました。両ガイドは、評価方法や対象に違いがありますが、共にレストラン選びの重要な指標として、日本の食文化に大きな影響を与えました。

まとめ

ザガットサーベイは、一般の人々の声から生まれた、客観性と信頼性を重視したレストラン評価ガイドです。世界規模で展開され、デジタルデータの活用など、時代の変化に合わせて進化を続けています。その歴史と影響力は、現代の食文化を考える上で重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索